前穂高岳北尾根4峰正面壁 松高ルート
メンバー/中嶋、松田
2012年8月12日(日)
3:00起床。朝食を食べて準備をする。前日、北条・新村ルートを登り5・6のコルでビバークをしていたパーティーが帰って来られたので、アプローチや下降路の情報を教えて頂いて5:00に出発。
天候は晴。午後から次第に悪化する予報なので、早めの行動を心掛ける。アプローチは奥又白池から奥又尾根の踏み跡を1時間程登った所から奥又白谷へ下り、雪渓後のガレ場をトラバースする。C沢には雪渓が残っていたので軽アイゼンをつけ、
7:00 4峰正面壁の基部に到着する。甲南バンドへはC沢の巨大チョックストーン直下から右へ上って行く。(後続パーティーのH氏に教えて頂きました。ありがとうございました。)
今回は一度T1まで登り、北条・新村ルートの取り付きを下見してから松高ルートへ取り付いた。8:00登攀開始。
・1P目(松田)草付を登る。支点は見当たらない。段々とルートを右に外れていくが、左側の岩は浮石が多いので30mほど草付を登った所から左へトラバースして戻り、ピッチを切る。約40m
・2P目(中嶋)フェースを登り、左へ一段上がったテラスまで。約15m
(H氏パーティーは、落石が多い為ここまでの2ピッチを省き、T1よりアンザイレンしてテラスまでトラバースされていた。)
・3P目(松田)バンドを右上。約30m
・4P目(中嶋)フェースをハング下まで。約30m
・5P目(松田)松高ハングをA0で越える。続く凹状の垂壁もA0で越える。どちらもハーケンは多いが、効きの悪そうな物もあるので選んで使用した。また深く打ち込まれたハーケンも多く、スリングヌンチャクを多用した。松高テラスまで。約30m
・6P目(中嶋)松高テラスから垂壁をA0で越える。そこから右へ回り込み、立ったスラブもA0で越え、さらにフェースへと伸ばす。約40m(4〜6P目では所々で小さめのカムが使えた。)
・7P目(松田)一段上がって傾斜の緩くなった所で終了。約10m 11:00登攀終了。
終了点からは右にトラバース気味に登って北尾根に向かう。途中ザレていて急な所も多いので注意が必要だ。12:00 4峰頂上に近い大岩付近で稜線に出る。
4峰からの下りは浮石とザレ場が多く緊張が続く。5・6のコル13:30。ここからは黄色のペイントを辿り、小尾根をいくつか越えて本谷をトラバースし、奥又白池のベースに15:00到着。
5・6のコルからは途中、崩落している箇所もあり、天候が悪いとロープを出す必要もありそうだ。全行程の行動時間は10時間で、登攀に3時間、岩場までのアプローチとベースまでの下降に7時間を要した。
今回は運良く晴天の中でスムーズに気持ちの良いクライミングが出来たが、一旦天候が崩れてしまうと一転してビバークになりそうだ。
岩場は全体に浮石が多く注意が必要で、ルートもあまり登られていないのか核心部以外は支点も少なく、錆びて傷んだハーケンが多かった。
また、北尾根からと思われる落石も多く、4〜5P目の9時から10時頃はちょうど4峰通過の頃なのか、ひっきりなしにブンブンと落ちて来て肝を冷やした。
約2年ぶりの合宿参加で不安も多かったが、パートナーの中嶋氏をはじめ皆に助けられ、無事に楽しく終える事が出来た。近いうちに北条・新村ルートにもチャレンジしてみたい。
文章/松田