GW春合宿
日付:2013/5/3〜5/6
メンバー:森田・大内・中嶋・迫間・小澤
5/2(木)22:00吹田駅へ集合し、大内さんの車で出発。
5/3(金)新穂高温泉に着き駐車場で仮眠を取り、新穂高ロープウェイにて西穂高口まで移動。
8:45 西穂高口出発
9:35 西穂山荘到着
少し休憩して、すぐに西穂高岳に向けて出発。
大内さん、迫間さん、小澤、中嶋さん、会長の順で歩き出すが、途中から、大内さん、迫間さん、中嶋さん、小澤、会長に変更。
あっという間に西穂独標に到着。ちょうど2年前のGW、初めてアイゼンを履いて雪山に初めて登った時、
この独標まで精一杯だったのを思い出す。ここから先は未知の世界(夏にも行ったことがない)。緊張しながら、西穂山頂を目指す。
12:20 西穂高岳到着
もう着いたの?と思うくらいあっさり西穂山頂に到着。少しは私も成長しているのかな?と思うのも束の間、ここから先は、未熟な私にとっては核心の連続であった。
頂上からすぐに急峻な雪稜の下降。ロープを出しての下降だったが、下りが苦手な私はかなり緊張した。
そこから先も登り下りを繰り返しながら、
15:30 間ノ岳到着
地図で見ると西穂からすぐの距離なのに、だいぶ時間がかかった。
結局、間天のコルが1日目の幕営地となる。
初日の最後に非常にヒヤっとすることがあった。間天のコルに下りる最後の雪壁。私以外のメンバー皆はロープなしで下降。
会長に「ロープなしで行けるか?」と尋ねられ、少し悩んで「行けます。」と返事。
「本当に大丈夫だな?」「はい、大丈夫です。」
ここまで登り下りを繰り返し慣れてきたのもあり、少し自信もついてきての返事だったが甘かった。
数m下ったところで、右足を蹴りこもうとした瞬間、左足がずるっと少し緩んだ。右手のピッケルだけに体重がかかっている状態。
すぐに会長に「足を蹴りこめ」と言われるが、少しでも動いたら右手のピッケルが外れるのでは?と恐くて動けない。
それを伝えると「そのままじっとしとけ」と会長が助けに来てくれて、なんとか体勢を立て直して、事なきを得た。
決して気を抜いたつもりはないが、ここを降りれば幕営だと、どこかで緊張感が足りなかったのかもしれない。
テント設営時にポールが谷底に滑り落ちていくというアクシデントもあった。
「ポールは寝かせて置いてはダメだ」と会長が注意しようと思った矢先の出来事であった。
「初日からかなり疲れた。明日はもっと集中しなければ。」と思いながら、就寝。
5/4(土)4:00起床
6:00出発 間天のコルから逆層スラブの登り。昨日は恐いと思わなかった登りにさえ、恐さを感じる。会長には、「昨日のスリップの後遺症が出てるな」と言われる。
6:40天狗岩(天狗ノ頭)到着
8:25天狗のコル到着
ここは幕営が可能だというだけあって広々としている。ここでゆっくり休憩をとる。
そこから畳岩ノ頭に向けて登っていき、さらに登ってコブ尾根ノ頭を目指す。
11:40コブ尾根ノ頭到着
ここに到着した段階でかなりガスっていて進む方向がわからない。と思った瞬間、ほんの一瞬だけガスがきれて、ジャンダルムが目の前に現われる。
ジャンダルムに登ってしまうと、ジャンダルムからの下りが厳しいのでまこうと会長の意見があったが、
雪の状態がよければトラバースできるらしいという岳沢側の基部はどうも安定してなさそうで厳しそうとの判断。
反対側からまけないかと、大内さんを先頭に様子を見ながら進み始めるが、結局、ジャンダルムに登るしかないとの判断。
12:20ジャンダルム到着
登ったものの、やはりここからの下りが厳しそう。そこでちょうど先を行っていた単独の方が懸垂下降をしようとしていたところに遭遇する。
私達パーティもその方のロープをお借りし懸垂下降。私達は25mロープだったので、もしこの50mロープを借りてなかったら、もっと時間がかかったことだと思う。
ジャンダルムから先、ナイフリッジを通過し飛騨側を下った後、ルンゼを登り返し、またまたナイフリッジ。その後、馬ノ背の雪稜。
今振り返れれば、この馬ノ背の登りが一番楽しかった気がする。
とにかく無心で登ったら、奥穂山頂に到着した。
15:15奥穂高岳到着
山頂に到着した時に、大内さんが握手の手を差し伸べてくれて、思わずうるっときた。
しかし、ここから穂高岳山荘までの下りも私にとっては厳しい場面が多く、とにかく緊張感が増すばかりで吐きそうになった。
17:30穂高岳山荘到着
約12時間行動で、1日がとても長く感じた。テントの中で明日以降の予定の相談をする。
結局、明日はここにテントを残したまま北穂までのピストン、翌日ここから下山することに決定。
5/5(日)4:00起床
6:20出発
6:40涸沢岳到着
ここから少し進むと涸沢側に下降する急峻なルンゼ。
そこを通過してからもクサリ場やハシゴの箇所が続く。浮石の多い部分があり、とても緊張した。
D沢のコル、最低のコルを通過した後の滝谷側に回り込んだ辺りのトラバースは本当に恐くて、何度も会長に泣きを入れました。すみません。
この写真の辺りに来たところで、11:30。
もう少し進めばドーム、南峰というところだろうが、6時間で北穂山頂まで行って6時間かけて戻ってくるという予定でいくとそろそろ時間切れ。
結局ここで引き返すという判断に。帰りは比較的登りが多かったので、行きと同じだけの時間はかからずにテントまで戻ってこれた。
15:15穂高岳山荘到着
翌日の白出沢からの下山に向けて、会長から滑落停止を教わる。
以前にも何度か練習したことはあるが、かなり苦手で正直まともに出来ない。もっと練習しなければと思う。
この日は早めに夕食の準備を始めたので、今まで一番ゆっくりとテントの中で夜を過ごす。
あとは明日無事に下山するだけだと思いながらも、白出沢の上部は結構急な上に朝一番は斜面が凍っていること、
万が一滑った時、滑落停止できる自信がないこと等を考え始めたら、なかなか眠れなかった。
5/6(月)4:00起床
6:20出発
穂高岳山荘の西側からすぐに白出沢だが、初めの一歩からもう恐くてたまらない。
元々下りはかなり苦手だが、この合宿が進むにつれて毎日毎日緊張感で精神的にいっぱいいっぱいになっていた私には普段以上に恐いという気持ちが前に出る。
もたもたしているうちに、大内さん、迫間さん、中嶋さんはどんどん先へ下っていき、あっという間に小さく見える。
会長に怒られるも、恐くて先になかなか進めない。前向きだとどうしても恐いので後ろ向きで降りさせてもらうことにする。
斜面がゆるくなったら前を向こうと思っても、なかなか恐くて前向きに下れない。結局、ほとんどバックステップで降りてきた。
途中、休憩を取っているとき、「周りを見てみ。いつ落石がきてもおかしくないところにいるんやで。」と注意を受けた。
この記録をまとめている最中に、私達が下山した2日後の5/8に白出沢で落石による滑落死亡事故があったことを知り、上記の会長の言葉が思い出され改めて考えさせられた。
亡くなられた方ののご冥福をお祈りいたします。
11:10穂高平小屋到着
12:00新穂高温泉到着
感想:行く前から初心者の私にとってはかなり厳しい山行になるとは思っていましたが想像以上でした。毎日毎日、緊張感で吐きそうでした。
私がもたもたすることでメンバーの皆さんをお待たせしたり予定通りに行程が進まなかったりと、
本当に申し訳ない気持ちと自分が情けない気持ちになり、
自分なんかが山に登る資格があるのか?もう山なんてやめてしまおうか。とすら、正直、途中に思ったりもしました。
それでも、無事に下山し、こうして記録をまとめている今では、また登りたいという気持ちになっています。
正直、私にとって山に登るとは何なのか?今はよくわかりません。
でも、今回このような経験をさせて頂けたことに本当に感謝致します。
メンバーの皆さんに迷惑をかけたり、今回お世話になったことを無駄にしないためにも、これからもっと頑張りたいと思います。
本当にありがとうございました。
文章:小澤