鹿島槍・東尾根 山行記録
日程:2014/5/3-4
メンバー:中嶋・小林・べたこ(岳友)、ちびサンボ(岳友)
仕事とアルデの合宿の日程 が合わないこともあり、今年のGWは来年、アイガーに行く予定のメンバーで初の本チャン山行に行くことにする。
0日目(5/2):
5/2の夜行バスが取れなかったため、2日の昼過ぎに中嶋 さんと新大阪を出発。
途中、中嶋さんが乗車券& 新幹線のチケットを無くすというハプニングがあったものの、予定通り16時過ぎに松本に到着、東京在住のべたこさんと落ち合う。
(注:無くしたチケット は、その後、新幹線内で見つかったと連絡がありました。全く、人騒がせな・・・。)
松本市内のホテルはGW中で取れなかったので、べたこさんの車で美ヶ原温泉の旅館に移動。時間が無いので、松本城は車からの見学になりました。
旅館でひと風呂浴びて、今 度はバスで松本市内に移動。
べたこさんおススメの山賊 焼きと蕎麦が美味しい「山里」で、長野の味と日本酒を堪能。
これまでの山行で、前日入 りして宴会、なんて贅沢はしたことなかったので、ついウハウハ、飲み過ぎそうになるが、明日からが本番。
早めに切り上げて、旅館で 二次会。仕事明けに神戸を出発したちびサンボさんは12時頃、旅館に到着。
明日に備えて、1時前には布団に入る。・・・が、N嶋さんの、普段話す声より大きいイビキで全く眠れず、朝を迎える・・・。
1日目(5/3):
6時半過ぎ、旅館を出て、べたこカーでまずは松本駅前へ。モスバーガーでモー ニングを食べ、一路、今回の登山口、大町の大谷原へ。
昨年、同時期に東尾根に
行ったべたこさん・ちびサンボさんによると、去年は雪があったという登山口も、今年は全く雪なし。気温も高く、今日は大汗かきそう・・・。ダウンは置
いていくことにする。
9時15分、大谷原を出発!20分ほど林道を歩くと、看板に小さく「→東尾根」とマジックで書かれている。右を見ると赤いリボンが付いてる。
ここから尾根へと取り付 く。去年はグサグサの腐った雪道だったらしいが、今年は全く雪が無く、急な藪漕ぎ。
それなりに踏み跡もあり、 赤いテープがあるので、それほど藪にイライラすることもなく登って行く。1P切った後から、所々雪が出てくる。
トレースもあるし、雪も 腐ってないので、それほど踏み抜くこともなく、割と歩きやすい。もっと暑いかと思ったが、むしろ天気は曇り気味。
13時頃、一の沢の頭に着く。今日、テン泊予定の二の沢の頭を正面に、その奥に 明日の核心、第一・二岩峰を確認する。
一の沢から二の沢の頭、第 一・二岩峰を見る
ここから藪・岩・雪が交互 に出てくる尾根を登って行くが、うっすら雪がついた笹に足を置くのが、滑りそうで怖い。薮やら枝を持って、慎重に進む。
薮・岩・雪の連続でややこしい尾根
と、ちびサンボの様子がお かしい。手袋を外すと、右手の薬指の先端が内出血している。
今日の前半、雪を踏み抜い たときにピッケルで挟んで、骨折したかもしれないとのこと。心配だが、このまま登って行く。
14時半、二の沢の頭に到着。すでにテントが4張りほどあった。 雨がパラつき、風も強い中テントを張る。
さて、今回は料理上手のべ たこさんが食事を用意してくれた。今日のメニューはビーフシチューとザワークラフトとジャーマンポテト。
それもなんと全て手作り! アルデでは全く考えられない光景に、中嶋さんと驚く。
こんな中、用意してきた乾
き物のアテなど出せるわけ無く、ザワークラフトとジャーマンポテトをつまみにビールで入山祝い。・・・が、ちびサンボさんの指が心配・・・。
看護師のちびサンボさん、 隣のテントから針を借りて、内出血している指の血を出す。
こんな状態でもアルデ組 は、ワインとビーフシチューを堪能し、申し訳ありませんでした・・・。
そうこうしている間に風も 弱まり、明日は予想通り、天気は回復しそう!
明日は、鹿島槍の北峰・南 峰、冷池山荘を越えて、赤岩尾根から下山と11時間行程の予定なので、19時就寝。
2日目(5/4):
2時起床。ラーメンの朝食を済ませ、予定通り4時に出発。アルデ 山行だと大体30分遅れだが、優秀優秀。
隣のテント(2人組み)に続き、2番目に二の沢の頭を出発する。ここから少し下って左斜面をトラバース気味に 登って行く。
雪も締まっていてトレース もバッチリ、めちゃめちゃ歩きやすい。順調に進んで行く。
締まって歩きやすい雪面
ちょうどヘッドランプを消 して、朝日が出始めた5時前、第一岩峰の基部に到着。先に出た二人組みのパーティが登っている。
朝日!
第一岩峰を登る先行パー ティ
今回は、中嶋・小林、べた こ・ちびサンボさんで組む。先に小林リードで登る。
雪が多ければ右側のルンゼ の雪面を登るのだろうが、今回は雪が少ないのでルンゼ左側の岩を登る。
どっこいしょ!
3級弱の短い岩場から階段状の岩場、そこから雪面を登り、前パーティが切った 木の枝でセカンドの中嶋さんをビレーする。
今回、アルデ組はヌンチャ クをそれぞれ3つ程度しか持ってこなかったので、ランニングを取るポイントに悩んでしまった・・・。
そこから中嶋さんのリード で容易な岩沿いの雪面を登り、一旦ロープをしまい、あとは雪面を登って稜線上に出る。
今日は天気もばっちり!こ れからの行程も長いけど頑張るぞー!
7時頃、第二岩峰の基部に出る。
核心、第二岩峰
まずは小林リード。チョッ クストーンの岩場まで登る。ここまでロープ半分くらい。
流動分散できるようないい 支点は無いし、最後まで行こうか悩むが、ランニング用ビレーが少ないのと、ロープの流れを考えて、ここで切る。
・・・が、これが私にとっ ては正解だった。次ピッチ、リハビリ中の中嶋さんリード、出だしのかぶり気味のチョックストーンで若干悩みながら登っていった。
ということは当然、私には 難しく・・・、手袋とった挙句、A0で抜ける。終了点に着いて、中嶋さんに手袋取ったことを怒られる・・・。
確かにこれからのステップ アップ(つまり厳冬期に同様のルートを登ること)を考えたら、A0はまだしも、手袋取るべきではなかった、と少し凹む・・・。
第二岩峰から北峰まで快適 な斜面をいく
ここから、これまたトレー スばっちりの雪稜を50分ほど歩いて、8:50に北峰頂上に着く。
今回は何の問題も無かった が、雪庇が発達して視界が無いときには、雪庇上に出ないよう注意が必要だろう。
北峰で後続のべたこ・ちび サンボパーティを待とうと思ったが、風が強くとても待てないので、先に南峰へと向かう。
雪が安定していれば、北峰 と南峰の間の沢を下降出来るらしいが、今回は全くトレースが無かった。
北峰から。南峰はまだ遠 い・・・。
南峰への最後の登りの手前 の岩陰でようやく風が遮られたので、ここで大休止。
春らしい穏やかな陽気につ られて、中嶋さんが小鳥にナッツなど与えてみるが全く食べない…。
どうやら鳥さんたちは雪の 上の小さい虫を探して食べているよう。可愛い顔して肉食なのね…。
なんてがっくりしている と、べたこさんとちびサンボさんが到着。ここから4人揃って、10:20、南峰に上がる。
一般道からの登山客で込み 合う南峰頂上
南峰は一般道から登ってき た登山客で大盛況。頂上はすっかり風も無く、正面の剱を始め、アルプスの大展望を拝む。
冷池山荘までの道には全く 雪が無く、完全夏道。そこから登ってきた登山者も、皆、アイゼンを付けていない。
我々もアイゼンを外し、ぐ んぐん下る。南峰から1時間強で冷池山荘に到着。小屋が営業しており、テントもたくさん張られていた。
下山は赤岩尾根から。爺へ と向かう一般道から赤岩尾根との分岐で、再びアイゼンを装着。
赤岩尾根
トレース通りに15分ほど下ると、西沢を登ってきた人たちが休憩している。
西沢は雪が安定していれば 下降に使えるらしいが、今回は素直に尾根を下るしかないと思っていた。西沢を下れれば大分ラク。
聞いてみると、雪崩れる心 配はないと言う。ということで、西沢を下ることにする。
確かに下ってみると、雪は 締まっていて踏み抜くこともない。
それでもやっぱり恐いの で、雪渓のど真ん中は避け、木の生えた尾根寄りを急いで下る。
西沢を快適に下る
そろそろ雪渓下りにも飽 き、膝も痛くなり始めた頃に西沢の出合いに出た。
冷池山荘から2時間ほどで下ることが出来て良かった。ここからは駐車場まではダルい40分ほどの林道歩き。
15時頃、車に到着した。何だかんだで4時出15時着の11時間行動。
条件がいい中、これだけ掛 かったので、状況によっては、やはり2日で抜けるのは難しく3日は見た方がいいと思った。
さて、心配なのはちびサン ボさんの指。救急に電話してみると、大町から最寄りの整形外科は松川村ということなので、べたこカーで向かう。
松本から大阪の最終に間に
合わなくもないが、どうせ明日は休みなので、「ルーズヴェルトゲームが見たい」というべたこさんには録画で見てもらうことにし、今日は道の駅に泊まる
ことにする。
ちびサンボさんの診療中、 近くのスーパーで買い物を済ませ、ちびサンボさんを病院に迎えに行く。
結果は・・・、やはり骨折 とのこと・・・。その後、松川村のすずむし荘で汗を流し、道の駅まつかわで宴会。
翌朝、宅配便で荷物を送っ て身軽になったちびサンボさんと共に、始発の特急しなので大阪に帰った。
装備(/1パーティ):
ダブルロープ1本、シュリンゲヌンチャク6本(どうせ支点はあんまり取れないと思って少ししか持っていかなかったが、
やはり10本/1パーティはあったほうが良かった)
文章/小林
ちびサンボさんの記録はこ ちら
http://merapeak-kobe.com/sanko/2014/20140502.html