12/29

7時朝食、8時に出発。

朝食前の健康チェック:血中酸素飽和濃度90 脈拍69

今日もK戸さんは、部屋を確保するため、私たちを置いてスピード登山。

高山病にならないんだろうか、と心配になるが、元々高地に強い方で慣れてるから大丈夫みたい。

S遊旅行の添乗員は、凡人には務まらないな…。

一方、凡人の我々は昨日帰りに通った道を、今日もポレポレで進む。

一回丘を越えると、ニョキニョキ生えていたジャイアントセネシオも無くなり、desert(砂漠)地帯に入り、Last Water Pointに到着。

実際にはここの水は枯れており、ポーター達は少し下の水場で水を取り、キボハットまで担ぎ上げるとのこと。本当に頭が下がります…。

Last Water Pointにはトイレがあるが、ここからキボハット直下までトイレはなく、青空トイレになる。

視界が開けてしまうので、いいとこ探すのが大変だが、水を飲むのが何より重要なので、そこは気にせずひたすら水飲む。

何だかんだでそれなりのところは探せるが、そういう場所には紙がいっぱい落ちてる…。

日本の山でもそうだが、紙が散らかっているのは非常に見苦しい。出したモノは置いて行っても、せめて紙は持って帰りましょうね。

途中、眺めのいい丘で軽食。今日はキボハットに着いた直後に昼食兼軽めの夕食の予定なので、本格的なランチでは無く、ビスケットとマフィン、ジュースと紅茶などを食べる。

こんなときも、ポーター達は先回りして用意して待っていてくれる。ありがたやー。

 

 砂漠地帯を行く

奥に見えるのが、

キボ峰。これだけで

一つの山みたいが、

実際は遠くから見え

るキリマンジャロ全

体の、かなり上の方

にいる。

 

 

 

 

 

ここで、1時間先に出た韓国隊に追いつく。彼らは高度順応日を設けてないので、かなり辛そう。

やはり昨日の高度順応日は成功率を上げる大きな要因だと感じる。desert地帯で、風を遮るものがないので、風が吹くと寒い。ヤッケを羽織る。

しばらく平地を歩き、少しずつ登りになってきたところにトイレとベンチあり。

ここら辺りからガスってきて、雨も少しぱらついたが、傘を差すほどでもなかった。

キボハットまでの登り、いよいよ標高も上がってきたので、慎重に腹式呼吸を心がけ、ポレポレで歩く。

そして13:40、キボハットに到着。

 キボハット。ガイドのデイビスと。

 

ここはこれまでのハットとは違い、大きなコンクリートの建物に大部屋がいくつかある。K戸さんが頑張ってくれたおかげで、今日も相部屋にならずに済んだ。

2段ベッドの12人部屋なので、6人は上に寝なくてはならない。

誰が上に行くか、という話になり、高齢の方や辛そうな方もいるので、私が上に行った方がいいかとも思ったが、この2段ベッドも梯子がなく、上り下りする自信がない…。

申し訳ないが、他の男性陣に頑張ってもらった…。

さて、いよいよ4700m

昨年は400mくらいで寝たところ頭痛が始まり、順応することなく下山した。

今回はとにかくゆーっくり、そろーりそろーり行動し、頭を下にしないようにする。

韓国隊はかなり辛そうで、外でぼーっとしてる人も居る。

優しいポーターのジェフがしきりに「大丈夫か?」と声を掛けてくれる。「ちょっぴし頭が痛い…」と言うと、「とにかく水をたくさん飲むんだよ。アフリカのてっぺんにタッチしてきてね。」だって。

そうだ、私は明日、アフリカ大陸の最高地点に立つんだ!今回こそ5000mを越えて、昨年のトラウマに打ち勝ってやる!高山病などになるものか!と気合を入れ直す。

15時に昼食兼夕食を食べるが、その前に健康チェック。

血中酸素飽和濃度88 脈拍105

ついに血中酸素飽和度が90を下回った。

でも70台の人もいるし、この標高で80後半は悪くない数字だろう。そして、アタック時にプライベートポーターを頼むかと聞かれる。

なんと15人中、11人が頼むとのこと!アタック時は、行動食と水、防寒具しか持たないので、頼む考えは全くなかったが、まさかの高割合にビビる。

でもハイドレーションで水飲みたいし、背中がスカスカというのも落ち着かない。やっぱり、私はポーターは頼まないことにする。

昼食兼夕食は、軽めにパスタ。相変わらず食欲は全く落ちず、今回も美味しく頂く。

でも食べ過ぎは良くないらしいので、今日は8分目どころか7分目くらいに抑えた。

頂上へは夜の23時に出発する。それまで仮眠を取るが、全く眠くない。前夜発して、ろくすっぽ寝ないで山に登ることもよくあるし、アルパインやってるおかげで夜間に歩くのも慣れている。

去年4100mで寝て高山病を発症したので、無理に寝ることはないと開き直り、とりあえず横になって体を休める。

アタック用の水をもらおうとプラティパスを出したが、この高所ではなかなかお湯が沸かない。

冷める前にテルモスに移したいので、用意が出来たら起こしてくれるように頼んでおく。

優しいジェフは起こすだけでなく、「熱いから危ない」と言って、テルモスに移してくれた。

これで水も確保し、安心。K戸さんは1.5Lくらい持てばいい、と言っていたが、プラティパス満タンにくれたので、結局2Lほど持つことになった。

途中1回トイレに行ったが、そんなに寒くない。結局1時間ほどしか眠れず、起床の22時を迎える。

皆、一様に無口で緊張感が漂う。K戸さんは、年越しそばには少し早いが、どん兵衛ミニカップを用意してくれていた。

アタック前に小腹を満たすにはちょうどいい。

他にもビスケットとクッキーが用意されていたが、食べ過ぎは良くないと、それらには手を付けず、紅茶を飲んで、いざ出発!!

出発前の健康チェック:血中酸素飽和濃度87 脈拍94

 

まずはプライベートポーターと顔合わせ。

ポーターはクライアントにぴったりくっついて登ってくれるので、ポーターを頼んだ人は、実質プライベートガイドが付いたようなもの。

ポーターを頼んでない私は、トップを行くセレマの後ろに付く。

ガイドのレミーが、私のザックを持って「重いじゃないか!持とうか?」と言ってくれるが、自分で担ぎたいと伝える。

レミーはポーターが居ない私を心配して、休憩の度に色々世話を焼いてくれる。

寒くなってきたので、ヤッケの中に一枚着込もうとすれば、ファスナーを上げてくれ、オーバー手袋を付けようとすればはめてくれ、お菓子を食べようとすれば封を開けてくれる。

後半、日が上がったときには、ヘッドライトまで仕舞ってくれた。せっかくなのでそれに甘え、気分はすっかりお姫様♪。

見ればレミーは水も持ってないし、手袋もしてない。寒くないのかと聞くと、「うん、ちょっとね」と言って、ポッケに手を突っ込んで歩いていた。

…まるで近所に買い物行くような軽装で5900mまで登ってしまうのね。

高度にもすっかり慣れてるから、頭も痛くならないし、水も飲まなくてもいいらしい。

それでも、たまに体調が悪いと少し頭痛がすることはあるらしいが。

と、気付くとハイドレーションのチューブが凍って、水が飲めなくなっていた…。

凍るから、チューブ内の水は毎回押し戻すよう言われていたのに、出発時の気温が高いから油断した…。

でも、別にテルモスとボトルを持ってるから大丈夫。いざとなれば、チューブ外して直接飲めるし。

道は急なザレ場に入る。15人のパーティに11人のポーター、8人のガイドが付くのだから、始めはすごい行列だったが、少しずつ隊もばらけてくる。

私は相変わらず快調。途中、眠気覚ましなのか暇つぶしなのか、ガイドたちは歌を歌って、暗闇の中陽気に登って行く。

前方の視界が次第に開けてきて、稜線が近づいてきたことを感じる。そして4時半、ギルマンズポイントに到着!

 

 ギルマンズポイント(5685m

 

キボには3つのピークがあり、ギルマンズポイント、ステラピーク、そして本当の頂上・ウフルピークへと登って行く。

登頂証明書はこのギルマンズポイントからもらえる(ピークによって、枠の色が違うらしい)。

ギルマンズポイントは写真撮影で大混雑。

ここまで来て私はウフルピークまで登れることを確信したので、ここでの記念写真はどうでもいい。記録の為、簡単に写真を撮る。

すると、レミーが先に行こうと言ってくれる。他の人はいいのかな?と思ったけど、レミーは無線を持っているし、セレマとも話していたみたいなので、二人で先に出発する。

ここから、ウフルまで急な登りはないらしい。ステラまでは北側を回り込む形で登って行く。

ところどころ凍った雪が付いていた。まもなく先に出ていた2班に追いつき、その後ろをノロノロと付いて行く。

5:15にステラピークに到着。ここの写真も簡単に済ませ、2班を抜いて先に出発。

ここからは道も広くなり、歩き易いザレ場を登って行く。標高も上がり、夜明けも近付き、寒さが増してくるが、風は全く無くベストコンディション。

レミーが「まだ着るものあるの?着る?」と聞いてくれる。薄手のダウンが最後に残っていたが、それを着るほどの寒さでは無いので、「大丈夫」と言って先を急ぐ。

二人になってからかなりスピードアップしたし、5700mを超えて、さすがに頭も痛くなり始め、お腹もゴロゴロしてくる。が、ここまできたらさっさと登って、さっさと下るべし!

と、レミーが右手前方のライトの明かりを指して、「あれが頂上だ」と教えてくれる。

よし、もう少しだ、頑張るぞ!!次第に空が白み始め、アフリカの大地を覆う広大な雲海の奥の方が赤くなってきた。

まもなく夜明けだ!気付くと左手に氷河が!昇り始めた太陽でうっすらと照らされている。

他の人たちを大きく引き離し、静かな登り。日本とはまるでスケールの違う雲海と日の出、そしてようやく見えてきた頂上の標識に思わずウルウルする。

そして6:05、ついにアフリカ大陸最高峰・キリマンジャロのてっぺんに立った!!ひと通り記念撮影するが、長居は無用。

昇ってくるまん丸い真っ赤な太陽の光を浴びながら、下山に入る。しばらく降りると、他のメンバーも登ってきた。

中にはポーターやガイドに引きずられて登っているような、かなり辛そうな人も居る。

もう少しですよ、頑張って!!マスーやデイビスなど、すれ違うガイドたちがみんな「Congratulation!」と声を掛けてくれて、私は満面の笑みで「Thank you!」と返しながら下る。

相変わらずお腹はゴロゴロするが、あとは下るだけ!もう怖いものはない!

 

 キリマンジャロ山頂!

PC301263 朝日

氷河(どんどん小さくなってるらしい)

 

 マウェンジ峰

 

ギルマンズポイントまで戻ると、HISの添乗員さんとお客さん2人が休んでいた。

添乗員さんはこれまで6回登ったらしいが、こんなに風が無いのは初めてとのこと。

おかげで思ったよりも寒くなかった。天候に恵まれたことに感謝する。

ここからは富士山の砂走りのような急なザレ場を下る。

登りはつづら折りだったけど、一直線に下って行く。

今日はキボハットで昼食後、ホロンボハットまで下る。膝が悪いので、あんまりスピードを出さないように下って行くと、さすがに飽きてきた…。

砂煙でオーバーパンツは真っ白。陽がすっかり出て暑くなってきたので、途中で服を脱いでいると、同じパーティのO野さんが下ってきて、ここから一緒に下る。

8:15、キボハットまで下ると、外で休憩しているポーター達が口々に「Congratulation!」とお祝いしてくれ

そして小屋の前ではジェフが待っていてくれて、早速冷たいジュースを飲ませてくれた!ほんとによく気が利くナイスガイだなー。

埃っぽいが、今日はこの後ホロンボまで下るので、今は埃まみれのままで我慢。

レミーやジェフが「体調はどうか?」としきりに気にしてくれる。「ちょっぴし頭が痛いよー」というと、「少し食べて、早く標高を下げた方がいい」とのこと。

昼食はみんな揃ってから食べることになっている。一番に下ってきたので、大分待つだろうなー。

寝袋にくるまりゴロゴロして、みんなの帰りを待つ。結局、15人中3人はギルマンズポイント前で断念。

ギルマンズポイントまで行った残り12名は全員ウフルピークまで到達した。

みんなが揃った10時、昼食。食欲がない人も多いが、私は相変わらず食欲旺盛。

野菜たっぷりの温かいシチューが乾燥した体に沁みわたり、とっても美味しかった。

 

 シチューに癒される

 キボハットポーター達荷造り中。

 キボハットの宿泊棟

 

荷造りをして11時半にキボハットを後にする。レミーと雑談しながらのんびり下る。

 

 また砂漠地帯を下る

 

下りは「ポレポレ」の必要も無く、休みも2回取っただけで、ホロンボハットに到着。今日も先に着いたK戸さんからカギを渡され部屋へ。

今日は午後のお茶も食堂ではなく部屋まで運んでくれるとのこと。持ってきてくれたお湯で埃を落として大分スッキリ出来た。

ここまで下ると体もかなりラク。普通に走れそうなくらい。3700mには完全に順応できたようだ。

しばらく昼寝をして、気付くと夕食の時間の19時!寝ている部屋の人を起こして、食堂に行くと誰も居ない…。

どうやら6人部屋のひとつは全員完全に寝ているようで、誰かが起こしに行って、ようやくちょろちょろ集まってきた。

料理も運ばれてきたので、先に食べ始めた頃、何とか全員集合。皆さん、よほどお疲れですな。

そんなんでバラバラと食べ終わり、各自部屋へ。私もさすがに今日は爆睡

 

つづく