雪彦・不行岳北壁・温故知新ルート(2014/11/8 メンバー/椿尾、小林

 

昨年、椿尾さん追間さんが3度目のトライで落とした雪彦・不行岳のフリールート「温故知新」。

最高グレードは5.10b

昨年の私ではオンサイトは厳しいグレードだったので射程圏内に捉えていなかったが、椿尾さんによると「ルートさえ間違えなければ簡単」とのことなので、椿尾さんにお付き合い願った。

地蔵岳東稜と正面壁・右カンテルートを登る中嶋・松村・松並も同行。

6時、梅田モンベル前。松村さんの車で雪彦へ。大変乗り心地良く、いびきかいて寝させていただきました。

いつもは登山口付近に路駐するが、登山口前の東屋で工事中ということで、手前の神社のところで通行止めになっていた。

神社前に駐車する。リードは空身で登るため、荷物は一つにまとめる。

公正を期してじゃんけんして私が負けたが、優しい椿尾さんが取り付きまで荷物を担いでくれた。

 

中嶋パーティと東稜基部で分かれ、私たちは沢筋をさらに奥に進む。

濡れていたら絶対滑りそうなスラブを越えて、1P目の取り付きへ。

前回はシングルロープで登ったとのことだが、この1P目はジグザクルートなので、ロープの流れがいいように今回はダブルにした。

私は初めてなので、どこをリードするのでも構わない。ということで、前回椿尾さんがフォローで登ったところを、椿尾さんがリードし、残りを私がリードすることにする。

 

1P目(40m、W)、椿尾さんリードで9時スタート。右上して左上してまた右上。三峰からの下降路に出て終了。ラッペルステーションで切る。

朝イチということもあるが、出だしがほぼ垂壁の上、バランシーでとても難しく感じた。ルート中の最高グレード、5.10bのピッチは私がリードすることになっているが、こんな調子で大丈夫かな…。

 

PB081011

「ここから1段上がって1P目スタート」

 

2P目(25m、V):小林リード。三峰からの下降路に張ってあるロープを辿って、少し左に行ってから、登り始める。

草付き&泥混じりのフェースでスッキリしないピッチ。右上のシュリンゲの掛かっている松の木でビレー。

 

3P目(30m、W):小林リード。2P目の終了点から、草付きの中の踏み跡を、コンテで左上方向にたどって、No.3チムニーの基部でビレー。

本当なら椿尾さんがリードの番だが、この次の4P目がまたスッキリしない草付きだということで、優しい椿尾さんは私にリードを譲ってくれた。

No.3チムニーの左側を覗き込み、木登りでスタート。チムニー左のカンテ状を登る。

2ピン目掛けるくらいまでがちょっと細かかったが、あとは階段状。するするロープを伸ばす。

カンテを登り切ったところにラッペルステーションがあり、そこで切った。

 

4P目(15m、V):椿尾さんリード。てっきり左の階段状のフェースを登るのかと思っていたが、これが罠らしい。

これを登ってしまうと、その上で行き詰るらしい。正解は右手の草付きの中の踏み跡を登る。

うっかりして椿尾さんが荷物を背負ったまま、リードしてくれた。途中、左のフェースに古いリングボルトが連打されており、ここが第2の罠。正解はこのフェースを通り過ぎて、右に行く。

 

PB081020

3P目終了点。4P目は右の草つきへ」

 

5P目(30m5.10a):椿尾さんリード。ここからが本当の温故知新の始まり。

左のフェースに乗り移って、後は直上。細かくて難しかった。

一カ所、ランニングを無視して、そこから外れて上に登り過ぎてしまい、ヌンチャクが取れなくなる。

クライムダウンして、ランニング沿いを再び登る。ついついやってしまう悪い癖…。

難しそうだからと逃げずにランニングに沿って登らなくては…。

6P目(15m5.10b):小林リード。ルート上の最高グレードピッチ。クラック伝いに右のフェースを登る。

出だしかぶり気味で、スタートするのに心の準備が必要だったが、登り始めてしまえば、いいところにガバが連続するので、とても快適に登れた。

ここよりも、荷物を担いでフォローで登った5P目の方が難しく感じた(椿尾さん曰く、荷物が無ければ快適らしいが)。

 

PB081026

6P目終了点より」

 

7P目(50m5.10a):椿尾さんリード。小さなハングを越えて、最後はスラブ。細かい部分もあるがよく探せば大丈夫。

が、スラブ手前で手足が滑ってプラーンとなる…。いいホールドだったのに、なぜ??

セカンドで気が緩んだのか、情けない…。M字開脚でビレーする椿尾さんに笑われる…。取り付きから3時間15分、12:15に終了。

 

8P目:

PB081028

「終了点でM字開脚!の椿尾さん」

 

ここからロープをほどいて、大天井岳まで歩く。踏み跡がしっかりしているので、迷うことはない。

1カ所垂壁を越えるところがあり、お助け紐が掛かっていた。

今回は優しい椿尾さんが抜け口に長いシュリンゲを掛けてくれたので、楽々だったが、怖いと感じるならロープ出した方がいいかも。

30分弱で大天井岳の頂上着。一般道と合流。ちょうどお昼時で大変混み合っていた。

ここでクライミングシューズからアプローチシューズに履き替える。

中嶋パーティとは地蔵岳で合流しようと言っていた。

朝の時点では、温故知新に続けて、地蔵の右カンテでも登ろうかと話していたが、この後、地蔵岳を回って取り付くと、何だかんだで登攀終了が4時くらいになりそう。

お互い、右カンテは何度も登っているので、もういいか、という話になる。

地蔵岳頂上で私たちを待っている風の中嶋さんたちに電話するが、誰にも繋がらない。(皆さん、電源切っていたか、車に置いていたそうです。電波は入ります。)

一応、「私たちは右カンテに登らないから、先に行ってくれ」とメールを送っておく。

そうこうしているうちに、中嶋パーティも居なくなったので、地蔵岳頂上まで行って、そこで中嶋パーティを待つことにする。

大天井岳から一般道をしばし歩いて地蔵岳頂上へ。ちょうど見頃の紅葉を楽しみながら、昼食を食べたり、昼寝をしてみたり。

一般登山客やら、東稜を登ってきたパーティが、続々やってきて騒がしい。

体も冷えてきた。15時も近いが、中嶋パーティはなかなか登ってこない。

まさか先に帰ったとか?まさか取り付きで待っているとか?

ウォームアップがてら、少し下ってみると、右カンテ3P目を登る中嶋さんたちが見えた。

初リードの松村さん・松並さんが頑張っている。思えば、椿尾さんと組んで雪彦を登るのは、2年ぶり。

そのときは、お互い初心者だったけど、我々も上達しましたなー。初のリードで必死の2人を懐かしく見守る。

 

PB081030

「頑張れ、新人!」

 

16時時前、地蔵の頂上で3人を迎えて、一緒に下山。インター近くの王将で今日誕生日の中嶋さんと、初リードの二人のお祝いをして帰った。

ビールを飲むことを許可してくれたドライバーの松村さん、ありがとうございました。

 

感想:今日も地蔵の東稜ばかり混んでいて、温故知新は我々だけだったが、なんでみんな登らないんだろ??

支点もしっかり整備されているし、面白いルートなのに。逆相気味で、足ホールドはスメアが多いので、濡れていたらかなり怖いだろうが、乾いていれば快適。

確かに途中草付きがあったりと、スッキリとしたフェースが続くわけではなく、

さらには昔の支点があちこちに残っているので、知っている人と行かないと、ルートファインディングは難しいと感じた。

正しいルートにはキレイなペツルがあり、終了点もキレイなラッペルステーションが整備されているので、それを目印にするといいと思う。

温故知新だけだと若干物足りないので、次回は三峰東稜や友人登路からつなげたい(そうすれば怖い1P目も省略できるし…)。

 

装備:ダブルロープ50m 2本、ヌンチャク13本くらい

 

文章/小林