宝剣岳、瑞浪 (2015/12/05-06)

メンバー:崎間、椿尾

 今年の冬は暖かい。もともと黄蓮谷を予定していたものの、なかなか冷え込まず凍るかどうか不明な状況。という訳で予定変更し、氷結の心配をしなくても良い宝剣岳中央稜へ向かった。

◆行程

◆行動記録

(1) 宝剣岳

12/05(土)

 前夜発で菅の台バスセンター駐車場に午前3:00頃着。トイレの近くにハイエースが1台だけ停まっていて傍らにテントがあった。ぼくらもテントを張って仮眠。目覚めると、件のテントはアルデのプレ合宿パーティーだった。朝の挨拶を交わす。涼さんにバス・ロープウェイの1割引券を頂きラッキーだった。

 始発のバスとロープウェイを乗り継ぐと、あっという間に標高2600m超の千畳敷に到着した、ものの、一面ガスで展望が全くない。視界は20m程だろうか。目指す宝剣岳中央稜はおろか、千畳敷カールも全然見えない。さて困った。ここまで最悪の状態は想定していなかった。自分の認識の甘さに猛省である。さまよいつつ適当にラッセルしていると小屋の従業員らしき男性に止められた。変な所にトレースを付けて欲しくないとのこと。また、中央稜の場所を知らない状態では、見通しの悪い中取り付くのはかなり難しいだろうと忠告頂いた。椿尾さんと相談し、宝剣岳山頂から懸垂下降でアプローチすることを考慮して、一般道で宝剣山荘へ向かうことにした。

 千畳敷カールを横断して宝珠乗越に向かう道は、視界が悪くてどこを通るのが正しいか判別できなかった。ひとまず先行パーティーのラッセルを辿った。積雪と視界の悪さが相まって、どんどん登山者が減っていった。アルデ(プレ合宿パーティー6名、ぼくら2名)以外は10名程。先行のパーティーは明らかに傾斜の強いルンゼへと向かっており、以前ここへ来たことのある椿尾さんの「あんな急なルンゼには入らなかった」という記憶に助けられ、ぼくらは最短ルートで乗越浄土にたどり着くことができた。それでも視界が悪いせいでたまに吹き溜まりを直登してしまい、所々腰ラッセルを経験した。

<乗越浄土への登り>

 11:45頃、宝剣山荘に到着。カチカチの雪をピッケルやスコップで整地しテントを設営していると、アルデのプレ合宿パーティーも上がってきた。他に登ってきたのは、2名パーティー1組と、単独の方1名のみ。

 天候が回復すれば宝剣岳山頂へ行って、中央稜への懸垂支点を探すつもりだったが、風も強く展望もない状況が続き、この日の午後は所在なく過ごした。夕食はα米とレトルトカレーとレトルトハンバーグと焼酎。良く寝た。

12/06(日)

 明け方、椿尾さんがやたら近づいてきて若干寝苦しかった。後で知ったが、テントの外の椿尾さん側に雪が吹き溜まっていて、椿尾さんはその雪に圧迫されて移動を余儀なくされていたようだった(寝苦しいなどと思ってすみませんでした)。ゆっくり準備していたら、プレ合宿メンバーがテントの脇を過ぎて宝剣岳へア タックしていった。

<宝剣山荘横のテン場>

 一足遅れて、ぼくらも宝剣岳へ向かった。昨日の悪天が嘘のように晴れ渡っていて、中央アルプス、北アルプス、御嶽山、南アルプス、富士山と一望でき た。素晴らしい景色。個人的に、最近はフリークライミングをメインに活動していたので、ピークに立つのは久し振りだ。やはり冬山の山頂に立つのは気持ちが 良い。

<宝剣岳への登り>

<宝剣岳山頂から空木山方面>

 宝剣岳山頂から中央稜側を覗きこんでみたが、尾根に新雪がたっぷりのっていて悪そう。おまけに下降支点も見当たらない。雪で埋まっているのだろう。下降したとしても、この条件でピークまで登り返せる自信もない。ということで今回は中央稜を断念した。

 雪訓に励むプレ合宿メンバーよりも一足先に下山。下る途中、昨日とは違い多くの登山者とすれ違った。千畳敷カールからの登山道も明瞭だ。風もない。天候条件が違うだけでまるで別世界だなと感じながら、9:55発のロープウェイに乗って外界へ降りた。

<宝剣岳中央稜>

<千畳敷カールから千畳敷駅>

(2) 瑞浪屏風岩

 駒ヶ根から関西への帰り道に瑞浪屏風岩があるので、余裕があれば立寄ってみましょう、と予定していた。余裕があったので、駒ヶ根ICの少し西にある明治亭でソースかつ丼を摂取した後、瑞浪へ向かって移動した。

 瑞浪屏風岩着は13:30頃。路肩の駐車スペースはほぼ満杯。岩場に着くとどのルートにも誰かしら取り付いている状況。しばらく偵察し、空いていた「新人クラック 5.9」に取り付いてみた。出だしの1手こそはハンドが決まるものの、その上はワイドハンドからフィストでジャミングが決めにくく、おまけに薄被りなのでどうにも登れなかった。リードは諦め、終了点に回り込んでトップロープを張った(この岩場は大きなボルダーが山の斜面に生えているような構造をしているので、大抵のルートへは終了点に回り込める)。手の甲とくるぶしに多大な擦り傷をこしらえながら、都合2トライずつ奮闘した。

<新人クラック>

 15:00を過ぎると他のパーティーが帰り始め、岩場がすいてきた。看板ルートの一つである「イブ 5.11c」のあるエリアへ行き、まずは「秀則コーナー 5.9」にトライ。フィンガークラックにカムを決めながらステミング。一箇所、クラックが濡れていて恐怖だったが、なんとか完登できた。

<秀則コーナー>

 最後、トップロープで「イブ 5.11c」を味見してみた。クラックが細すぎて指が入らず、出っ張った方のクラックの縁に指先をかけて縦ホールドとして使うのみ。完全にフェイスムーブで難しい。ぼくは隣の秀則コーナーに逃げないと上まで行けなかった。椿尾さんはテンション交えつつもクラックだけでトップアウトされていた。さすがだ。

<イブ>

 16:00頃に撤収し、心地良い疲労感とともに下山。宝剣岳中央稜のベストシーズンや、新人クラックのムーブなどを話しながら帰路に着いた。

◆備忘録

文章:崎間