冬山始め山行〜宝剣岳〜

日時 2015125()6()

参加者 森田、大内、川平、近藤、渡邉、深美

 

124日(金)

22時頃、新大阪駅前の日産レンタカーに到着。

2215分に全員集合し、出発。

 

125日(土) 曇

午前3時ぐらいに菅の大バス乗り場駐車場に到着。新しいテントを広げてすぐに眠りにつくが、ファスナーが上手く閉まらない。

シュラフに対して会長が怒っていて、少し笑ってしまい緊張がほぐれた。

 

午前5

会長の歌声が聞こえて目覚める。山の上でのテントはもっと寒いんだろうな、と少し不安になった。

朝食をとり、パッキング等、準備を行ったが一番準備が遅くてすごく焦った。

今のうちトイレに行っておこう、と思いつつバスが来たらどうしよう…そんな事を考えながらトイレを済ませてバスチケットを購入。

 

バスは余裕で座れた。しらび平まで約40分。そこからロープウェイに乗って一気に標高約2600mまで。かなり視界が悪く雲がかかっていた。

 

千畳敷駅に到着。ハーネス、ビナ類の装着をし、ひとまず先に外にでてアイゼンの装着を行った。が、初めはアイゼン、ワカンは装着せずに出発となった(945)

リーダーの判断を聞いてから行動しなければ二度手間になってしまうと感じた。

 

ビナやマット等、ひっかかり満載のパッキングに問題があり、急いで修正したが結局、会長とりょうさんに色々修正してもらい迷惑をかけてしまった。今後は気をつけたい。

 

序盤は登山靴のみで出発。雪の深さはおよそ50cmほどであった。しばらく歩いていくと、会長がちょっと見てくれ、とピッケルを地面に突き刺し、氷の表面に新雪がのっている雪崩となる仕組みを解説してくれた。

前の人についていくことに集中していたが、ついにワカンをつけてラッセルをすることに。

本番でのワカン取り付けが初めてだった僕は、焦る気持ちを抑えながら作業を行った。装着前に靴底についた新雪をピッケルで叩いて落とした。

紐をリングに通していくが手袋をした手ではこんなにも扱いにくいとは…。周りの人の様子を伺いながら右足の取り付けが終わった。

会長がすでに両足にワカンを取り付け、仁王立ちしていた・・・めっちゃはやい。渡邉さんが「もうこれつけるの苦手やー。」と嘆いていて少し落ち着いた。

全員装着が終わるとトレースがついていない新雪を順番にラッセルした。

自分の出番が来てりょうさんに手取り足取り教えてもらいながら前に進むが上手く進めない。これがラッセルか…。

めちゃくちゃしんどいし足のふくらはぎが果たして悲鳴をあげないだろうか。そんなことを思いながら25mほど進むと額に汗が吹き出て息が上がる。

体力には自信があったがこんなにもバテるとは想像もできなかった。これがラッセルというものか。先頭交代の指示が出され、ホッとするが果たしてみんなについていけるのだろうか、と思いながら必死についていった。

 

ホワイトアウト状態で視界も悪く、八丁坂分岐あたりで途中道を間違えてしまう。

左側にトレースがついており、そちらが正しい道であるらしく一旦引き返して左にトレースしていく。

雪がどんどん深くなり傾斜がどんどんきつくなり、とりあえずここは早く抜けようと会長が号令をかける。雪崩の危険があるからだという。

不安になったが会長の存在がほっとする。いつも穏やかな会長もやはり山に入ると目つきが違いかっこいい。

ワカンでは歩きにくいのでアイゼンに替えて歩き出す。正直アイゼンに替えて尾根に出るまでの道のりが今回一番きつかった。

ふくらはぎが何度もつりそうになったり喉が渇いたから水分をとりたい、休憩したいと弱音を吐きそうになった。しかし弱みは見せたくないと必死でついていった。

そしてやっと尾根にでた!!しかし景色はあまり見えない。かなり雲が広がっていて風が強い。

 

とりあえず予定のテント場まではもう少し。テントを設営すれば少しは落ち着けるだろうと期待を持ちながら整地作業を行う。宝剣山荘前の雪を整地するがやはり風が強い。

奥の天狗荘に良さそうな場所があり結局、天狗荘前に設営することに。

今回は6人パーティーでモンベル四テン2張。

偶然なことにアウターの色が3対3に分かれており赤組と青組でチーム分けが決まった。

会長、深美さん、川平さんが青組でりょうさん、渡邉さん、ぼくが赤組となった。

 

雪山でのテント設営もそんなに経験したことがないため、色々りょうさんに教わりながら設営していく。

やっとこさ、テント設営が終わりテントの中へ入る前にできる限りたわしで雪を落とした。

中へ入ってホッと一息できると思いきや、そこから水作りが始まった。まだまだ一息できないな。

 

雪からの水作りも初めて経験したが夏の山行と違いなにかとひと手間かかる。

早く温かい飲み物が飲みたい。そう思いながらどんどん水を作っていく。水を作りながら行動食を食べる。

Lほどの水を確保するとついに温かいカフェオレを喉に流し込む。カフェオレが喉をゆっくり通っていくのがわかる。体の芯から温まる。

 

各自テルモスにお湯を確保したぐらいに、隣のテントから会長が「おおーい、そっちは盛り上がってるかー?」と聞こえた。もう青組さんたちは宴会が始まってるみたいだ。

少ししてから赤組が隣へ移動。テントに入った瞬間、酒臭い()

6人テントに入るとぎゅうぎゅうで体勢を縮めながら座っていると足が何度もつった。ウイスキーお湯割りと日本酒を少しばかり頂き、談笑。至福のひと時だった。

 

赤組のテントに戻り、夕食を済ませて午後7時ごろ就寝。少しホロ酔いですぐに眠りにつけた。夜中に寒さで目が覚める。

起床時間の五時まであとどのくらいか気になったが、長すぎたら気になって眠れないので見ないようにした。一度起きてからは寒くて眠りが浅く、しっかり寝れなかった。

 

126日(日) 晴時々曇

午前5時起床。

シュラフカバーと寝袋を収納し、湯を沸かして朝食をとった。

外にでると少し日がでていて幻想的な景色を見て心が落ち着いた。「これを見たら、山はやめられないな。」と思った。

景色を見るのが目的ではないが山には楽しみがいくらでもある。山に登る理由はそれぞれの人が千差万別の価値観を持っているのだと思うが。

いまだに自分が山に登る一番の理由がはっきりしない…。まだ見つかっていないのだ。

 

午前7時 テントを撤収し宝剣岳へ向け出発。

りょうさんが先頭に立ち、頂上を目指す。ロープを使ったのは頂上手前の10〜15mほどのところ。

フィックスロープに沿って慎重に足を運ぶ。山頂は驚くほど狭く1分もしないうちに降りた。

下りもりょうさんが先頭に立ち、2ピッチ分フィックスロープを張り、宝剣山荘付近まで下山。風は強かったが昨日よりも天気は良好。

宝剣山荘あたりの少し傾斜があるところで滑落停止の方法を教えていただいた。いまだにピッケルを使いこなせていない僕にとってはいい経験になった。

しかし、本番で滑落してとっさにこの動きができるかは不安であるが。知っているのと知らないのとでは大違いだろう。

 

下りも登ってきた道と同じ道を通る。昨日が嘘みたいに天気よく視界もよい。少し遠くに千畳敷ホテルが見える。意外に近いんだなと思った。

 

下りはアイゼンのみで降りていく。走るように新雪を下っていく会長。

僕は時々、足がはまり必死にもがいて立ち上がり再び歩き出す。何かにとりつかれたように歩いていった。

 

日がだいぶ上がってきた。かなり体が熱い。喉もからから。でも気持ちはなにか楽しくうきうきしている。空気が澄んでいてすがすがしい気分だった。

 

下っている途中、テレビ局の人達とすれ違ったが、なにかの番組だったのか?音声さんとカメラマンが俳優か女優さんに歩き方を指示していた。

 

千畳敷駅付近まで到着するとビーコンの使い方とラッセルの練習を行った。

ビーコンに関しては自分のものは初期不良で起動していなかった。ラッセル練習では傾斜がきつい場所での歩きやすい方法を会長に教わった。

少しでも楽に登れる方法を早く習得できるようにがんばりたい。

 

午後12時前のロープウェイに乗り1時頃に菅の平バス停に帰着。まずは腹ごしらえということで木曽名物のソースカツ丼屋に行くことに。

その後、温泉で疲れを癒し、午後3時ごろに木曽を出発。午後7時に新大阪に無事帰着。大阪もずいぶん寒くてびっくりした。

下界に帰ってきたのかと感じながら人の波に揉まれて電車に乗る。家のベッドで寝るのはいつぶりだろうか。今日はゆっくり寝れそうだな、と思いながら自宅に到着。

 

・感想

今回アルデに入って初めての雪山山行で不安で緊張もしたが参加して本当によかった。ラッセル、滑落停止、テント設営、水のつくり方等、今までわからなかったことが色々経験できた。

反省点としては軽量化とパッキング方法。体力がなければ軽量化をはかり、少しでも体力温存できるようにしたい。

正直なところ、途中辛すぎて雪山なんてもういいやと感じたが、あの雪景色は誰でも見れるものではなく山に登った者にしかわからないだろう。目に焼きついて離れないのはなぜだろう。


山をまた好きになれたかなと思う。

 

 

 



文章と1枚目の写真/近藤 

2枚目以降写真/大内