2015/03/21〜22 錫杖岳3ルンゼ
メンバー:崎間、椿尾、池田(メラピーク)
メラピーク池田氏の記録はこちら↓
http://merapeak-kobe.com/sanko/2015/20150320.html
◆行程
3/20 (金) 西宮北口 22:00 → 27:00 道の駅上宝
3/21 (土) 道の駅上宝 → 槍見温泉駐車場 8:00 → クリヤ岩小屋 11:00/12:10 →
3ルンゼ取付き 13:00 → 3ルンゼのコル 16:45/17:20 → 3ルンゼ取付き 18:20 → クリヤ岩小屋 18:20
3/22 (日) クリヤ岩小屋 7:00 → 槍見温泉駐車場 8:50
◆行動記録
<アプローチ>
道の駅上宝で仮眠から目覚めると春の陽気だった。身支度を済ませ、槍見温泉の駐車場からアプローチ開始。
暖かさで腐った雪にズボズボと足を取られ、歩きづらい事この上ない。
夏と同じく右岸から左岸へ一回渡渉する必要があり、やや水量が多くてくるぶし辺りまで水に付かってしまった。
錫杖沢の一つ手前の沢がクリヤ谷と合流する所には、大規模なデブリが残っていた。
クリヤ岩小屋はクリヤ谷沿いにあるのだが、メンバー皆、雪の錫杖は初めてだったので、クリヤ谷左岸の尾根を少し登り過ぎてしまった。
クリヤ谷沿いを素直に詰めるのが正解のようだ。槍見温泉から3時間弱でクリヤ岩小屋に到着。
岩小屋周辺には既にテントが2張あった。岩の近くを整地し、テントを設営した。
できれば今日中に3ルンゼを登りたいですねと話しつつ、
しかしながら雪が少なく黒々とした3ルンゼを見上げて本当に登れるだろうかと不安になりつつ、登攀準備を整えた。
クリヤ谷から望む錫杖岳
<3ルンゼ>
クリヤ岩小屋から前衛峰が見える。
それを見ながら急斜面をひたすら直登すると、1時間弱で3ルンゼの基部に着いた。
F1は雪で埋まっているので歩いて詰め、F2らしき部分でロープを出し、トップ崎間、セカンド池田さん、サード椿尾さんの順で登った。トップは空見とさせて頂いた。
1P: カムでゼロピンを取ってクライミング開始。リングボルトやカムで支点を取り、F3下でピッチを切った。
2P: トポにはF3は凹角の氷を登るとあるが、氷は溶けているので無理。
路頭に迷っていると、懸垂して来た先行パーティーが左壁にハーケン連打してあるラインを登ったというので、それに倣った。
フリーで抜けようとしたが足が抜けて1mくらい落ちた。
無理はしないことにして、念のために1つだけ持っていたアブミを取出しA1で登った。
錆びて曲がったカムは、体重をかけるとグニャリと変形し、なかなか恐怖だった。
3P: F4からF5の基部まで登った。F4はトンネル状になっており、湾曲した内部をくぐり抜けた。
ハムスターになった気分。ぼくは空身だったので楽だったが、フォローだとザックが引っかかって大変だったようだ。
F5下の水が流れている部分でピッチを切った。
支点はボロいハーケン2枚だけだったのでカムで補強した。
4P: F5左のベルグラをダブルアックスで登った。
時間が遅いのが幸いして、氷は硬く締まっており、なかなか快適だった。スクリューを2本使用。
続くF6はチョックストーンの左を登るようだが、氷がない。しかしリングボルトがあったので再びA1。
抜け口も悪いがアブミはもうないので、アックスを岩に引っ掛け、震える足でマントル返して抜けた。
コルまであと10mくらいのところで、ロープあと5mのコール。適当な残置がなく、ハイマツを掘り返してピッチを切った。
F5のベルグラ
コルに到達すると視界が一気に開け、谷の向こうに残照の槍・穂高連峰が見えた。
椿尾さん、池田さんと握手。ルンゼの一番上まで抜けられて満足だ。
内心、2P目で「今回は登れないかも」との考えが頭をよぎったものの、最後まで諦めずに登って良かった。
さらに上部にはグラスホッパーの氷瀑が見えたが、溶けかけていて下部が繋がっておらず悪そうだった。
ヘッドランプをヘルメットに装着し、下降に備えた。
コルから望む槍・穂高連峰
下降:同ルートを懸垂。コルから50m×3回でF2下まで降りた。F1は雪の上をクライムダウン。
<下山>
ロープを仕舞うとすっかり日が暮れた。3ルンゼの取付きから30分程でクリヤ岩小屋。
テントが3張増えていた。雪で冷やしたビールが乾いた喉に染み渡り、鶏すき鍋で空腹を満たし、完登の祝杯を上げた。
良いメンバーで良いクライミングができた。
翌朝、目標を達成した我々は快晴の錫杖岳を朝イチで下山した。
少し後ろめたさを感じつつ、つぎは1ルンゼを登るぞと闘士を胸に秘め、温泉目指してクリヤ谷を駆け下りたのであった。
◆登攀装備
50mダブルロープ、プレートアブミ、マスターカム#1、#2、#3、リンクカム#0.75、
キャメロット#2、アイススクリュー(13cmと19cmを1本ずつ使用)、ハーケン(使用せず)、ヌンチャク(8本くらい使用)
◆備忘録
・ビレイ点はすべて古いハーケンもしくはリングボルト。フィンガーサイズのカムで補強できる場面が結構あった。
・アブミは2個持っていくべきだった。
・午後から取り付いて夕方にかけて登ったため、前半のピッチは雪が緩んでいて状態が悪く登り辛かったものの、
後半は寒くなり雪と氷が締まって割と登りやすかった。
・ロープが60mであれば、クライミング、懸垂ともに、もう少し楽にピッチを切れたように思う。
・次シーズンは、もっとクライミングの突破力を上げて、1ルンゼ、左方カンテとステップアップを目指したい。
文章/崎間