赤岳主稜、阿弥陀岳北稜 山行記録(2016.1.15-17)
メンバー/松並、川平
1/15 1日目 阿弥陀岳北稜
大阪からの高速バスは、朝6:30頃に茅野駅に到着。すぐさまタクシーにて美濃戸口へ向かう。
今年は諏訪大社の御柱祭があるようで、タクシーの運転手さんの説明を延々と聞き、あっという間に美濃戸口に到着した。
新しく出来たお洒落なレストラン(J&N)は帰りに寄ってみようと話しつつ、7:15美濃戸口から歩き始める。
10:30行者小屋に到着するが、バスでは寝れず、3時間の登りでバテバテ。今から赤岳主稜は体力的にも厳しいと判断。荷物をデポし、阿弥陀岳北稜に向かう事とした。
一般道から北稜のトレースへ移るが特にラッセルの必要も無いのでぐいぐい高度を稼ぐが、傾斜はそれなりにキツイく、ふくらはぎが何度も攣りそうになる。
阿弥陀岳北稜の取付き
1P目 V+
松並さんのご好意により、川平リードをさせて頂く。ボコッとした大きな岩にぺツルが2箇所打ってあり、ルート的にもここを登るんだなと直ぐに解る。
出だしのフェイスは問題無さそうに思えたが、オーバー手袋では以外と難しい。離陸後直ぐに落ちる訳にもいかず、少々焦りながらも、慎重にホールドを探しつつ登る。
出だしさえ越えればあとはそんなに難しい訳ではない。40m近くまでロープを伸ばし、適当な岩角にスリング巻き付けビレイ開始。松並さんに登って頂く。
昼を過ぎているので北稜は日陰になっており、ビレイ中は風が吹く度、歯が浮くほどにガタガタ震える。コールも思うように声に出せず、フリースを着込んいない事を悔む。
2P目 U~V
特にこれといった難所無く、単純な雪稜登り。ほぼ50m一杯までロープを伸ばし、木の枝でビレイポイントを構築。その後コンテで阿弥陀岳頂上まで歩いて14:30頃到着。
頂上で記念撮影をしつつ休憩。天気にも恵まれ富士山が綺麗に見えるがやはり頂上はかなり寒い。早々に一般道で中岳のコル経由で下山。
時間に余裕もあるので、途中デッドマンの設置を2人で練習。ただ、雪質が脆く、踏み固めても効きが悪い事を実感した。
阿弥陀岳頂上
当然行者小屋は閉まっており、ビールは買えないし、明日のアイスキャンデーがしたいが為にデポした荷物を拾い赤岳鉱泉に向かう。
16:00過ぎに着くも、アイスキャンデーに取り付いている人はおらず、土曜日でもこんな感じかと思う。
小屋でビールを購入しテントで乾杯。尚、水はタダで貰えるので、余計な手間がかからない分、楽ちんであった。
川平食担の鍋を摘まみつつ、焼酎、ワインと進み20:00に消灯。
1/16 2日目 赤岳主稜
7:15赤岳鉱泉を出て、文三郎道から途中のケルンを目印に赤岳沢のルンゼを渡り、主稜下部岩壁に到着したのが8:30過ぎ。軽い荷のせいか、チョット飛ばし過ぎた感あり、結構汗をかいていた。
先行者1パーティ3名が登っていたのと後続パーティも居ないので、ゆっくりと準備をしながら9:00に取り付き開始。
赤岳主稜の取付きのチョックストーン
奇数P:松並さん、偶数P:川平のリードで登る
1P目 W-
雪が少なくチョックストーンの下を潜っていける。チムニーを登るとチョックストーンの直上にぺツルがあるがそこで支点をとると流れが悪くなるのでそのまま凹角から右に巻いていく。
その後のルンゼはランナウトで抜けていきビレイ点へ。W-だがそんなに難しいとは感じない。
ひょっとしたら、チョックストーンの下を潜らずに行くのかなとあとから感じた。
2~5P V
2P目 階段状を直登し、適当な岩角で支点を取るが、やはりロープの流れが悪い。悪いと思いつつもその後はランナウトとなりそうなので、念のため。ただ、やはりロープは重かった。
3P目 雪稜のリッジ。
4P目 門の様な岩壁を越えると緩い斜面の雪稜が待っている。
ビレイ点が何処なのかルートファインディングに迷うが、所々に残置ロープがあり、適当にプロテクションをとりつつ、上部岩壁のコルの様な所を目指しロープを伸ばす。
途中あと10mのコールが聞こえたが終了点も無く、スタンディングアックスビレイをしようかとも考えるが、雪少なく刺さらないので諦め、ウロウロしながらビレイが出来そうな岩角を探し回る。
5P目 雪稜と岩のミックス斜面。
6P目 V+
右から回りこんで緩い傾斜壁を登ったが、岩質が非常に脆く、雪もついていないのでピッケルも効かずホールドの確保には難渋する。
手で叩くと簡単に剥がれ落ちてしまうので、何度か「ラク!ラク!」と叫ぶ。
慎重に体重移動しながら、崩れないでと願いつつ登り切ると先行パーティのトレースがあった。どうやら自分とは反対の左から巻いていたようだった。
このPもルート的に巻き込みが多く、ここもロープの流れが悪い。ビレイヤーが引っ張っているのかと思う程、引き上げには相当重い思いをする。
7P目
ほぼ真っ直ぐの緩い雪稜を35mほどランナウトし、若干右上方向に向きを変えて最後の岩壁のビレイ点へ。50mロープをほぼ使いきる。
8P目
凹角を登り切り、右へ抜けていくと頂上のピナクルがはっきりと見える。
又、一般ルートを歩く登山者も見え、嗚呼ここが最後だなと思いつつ20m程ロープを伸ばすとビレイ点のぺツルが2つ打ってあった。
11:50松並さん到着。コンテでそのまま一般道に入り、赤岳頂上で休憩と記念撮影したあと下山開始。
赤岳頂上
赤岳鉱泉到着13:30。気になっていたアイスキャンデーを直ぐに観にいくが、既にほぼ全ルートにロープが垂らされ、入る隙が無い状態になっていた。
折角赤岳鉱泉にテントを張ったのに残念でならない。しかもシングルロープを持ってきた甲斐がないと落胆する。
仕方なくアイスキャンデーは諦め、丁度腹ペコだったため小屋内でスパゲティとビールを注文して、2日間の山行について話しをしながら過ごす。
やたら香港人が多く、大声で騒いでいた。又、一般客も多くなって来たのでテントに戻り飲み直す。
我々のテント横に大きなテントが張られ、中からNHKラジオ(川柳がどうのこうの言っている…)が流れていた。
隣をうるさく感じた(今の気分は川柳ではなくポップミュージックかな?)ので、自分達はiPhoneで音楽を聴くことで、微かな抵抗を試みる。
つまみもボリボリ食べ、ひたすら飲み続け、話し続け、結局もう夕食は要らないという事で、折角松並さんが持ってきた鍋セットは申し訳ないが、お持ち帰りにしてしまった。
それにしても松並さんはよく飲むなあと変な所に感心する。
自分は眠くなり、20:00にはナンガの暖かいシュラフ(羽毛600g)に包まれて、先に寝ることに。最近は飲むと睡魔に勝てません…
1/17 下山
翌朝は飲み過ぎによる胸焼け&食欲無く、お互い余り物のパンとスープで簡単に朝食を済ませる事にした。(結局松並さんの夕食と朝食はそのままお持ち帰りで荷物と化しただけに)
9:15には赤岳鉱泉を出発し、11:15には美濃戸口へ到着。
バスのチケットを購入し、気になっていたJ&Nへ立ち寄る。(ここで松並さんの鍋食べても良かったのだが、何故か二人ともそんな気にはなれなかった)
聞くと昨年の11月に出来たばかりらしく、シェフは元パティシエらしい。お風呂も併設されており、食事の前に入る事にした。
小さく4人で一杯になる風呂だが、新しく木の香りも漂い気持ちがいい。先客も居らず2人の貸切状態で、2日間の疲れを癒す。
さっぱりしたあと、先ずは生ビールで乾杯。ハンバーグ+ライス付きを注文するが、これがめちゃめちゃ美味い!
ハンバーグはデカく、ライスの量も結構な大盛り。食事をすれば風呂代半額の350円になり、お得感満載でした。
ただ、おつまみ類が無かったので、チーズとかナッツをメニューに加えるようにお願いをして、茅野行きのバスに乗り込んだ。
J&Nでの食事
感想
暖冬の影響で今年の八ヶ岳は雪が少ない。特に赤岳主稜はプロテクションをとれる所が少なく、又ロープの流れも悪くなりがち。
全体的には傾斜も緩く、ホールドも豊富なため登攀自身は難しいとは思えませんでした。
厳冬期に2日間とも天気に恵まれ、良いクライミングが出来た事はラッキーでした!
又、J&Nはオススメです!
文章 川平 / 写真 松並