2015−2016 冬合宿
前穂高岳北尾根
日付:2015/12/29〜2016/01/01
メンバー:チーム大内(大内、涼、深美)
チーム中嶋(中嶋、小林、寺尾(渡邊)、川平)
山行予定:12/29 大阪→坂巻温泉→上高地→徳沢
12/30 徳沢→八峰
12/31 八峰→北尾根→前穂→北尾根→八峰
1/1 八峰→徳沢→上高地→坂巻温泉→大阪
1/2、1/3 予備日
12月29日(火)
チーム大内+川平さんは大内カーで吹田駅から、チーム中嶋はレンタカーで新大阪駅をそれぞれ朝6時に出発する。
名神高速の黒丸PAでいったん合流したあと一路釜トンネルへ。
今年は雪が少ないとの情報通り、岐阜に入ってからも山には雪が少ない。
昼前に釜トンネル到着。荷物を降ろし、大内さんと中嶋さんは車を置きに坂巻温泉へ。
待っている間、トンネルを吹き抜ける風が冷たくて寒い。
今日の予定は徳沢まで。天気もいいし景色もきれいだ。
とはいえ時間もあまりないので恒例の大正池ホテルでのコーヒータイムもなく黙々と歩く。
徳沢では近くの小川から水を汲むことができたので、雪から水を作る必要がなかった。
夕食は小林さんの豚塩鍋、がっつりの豚肉がうれしい。明日からの登りに向けて力が出そうだ。
12月30日(水)
今日からがいよいよ本番、3年前の冬合宿も同じルートだったが悪天候と深いラッセルに苦しみ結局八峰まで辿り着かなかった。今回は天気も良さそうだし何とか登頂してリベンジしたいところだ。
まだ暗い中テントを撤収し出発。
新村橋を渡ったあともトレースが続いているのでそれを辿ってずんずんと進んでいく。
堰堤を経て慶応尾根の取り付きへ、周りも明るくなってきて堰堤からは目指す前穂高岳がよく見える。
慶応尾根までの急な登りは雪が少なく藪が出ていて登りづらい。
尾根上に出てからしばらくしてワカンを付ける。
日が昇り暖かくなってくると雪がやわらかくなってラッセルしにくいが、前に来た時の深い雪を思えば断然楽に感じる。順調に高度を稼いでいく。
パーティーの前と後ろの差が開いてくると、待っている時間で一休みしてしまい暖かい陽気と景色の良さについつい休憩時間も長くなりがちだった。全体としてなかなかペースが上がらないような感じがあった。
この時は“このペースで行っても八峰には問題なく今日中に着けるし、ゆっくりいけばいいや”と思っていたけど、あとあと考えればこの日に頑張って少しでも八峰よりも先に進んでおけば良かったなーと思った。
一日中これ以上ない快晴に恵まれ無事に本日のキャンプ地の八峰へ到着。
八峰から見上げる北尾根の姿はとても雄大で美しい。
あんな切り立ったところ登れるんかなと不安に思いながらもわくわくした気持ちがわいてくる。
12月31日(木)
朝6時半出発。思ったよりも天気は良い。
さあ今日は八峰にテントを残して頂上までピストンだ。一応ビバークの準備はするがタイムリミットを12時とし、その時点で引き返すということに決めた。
出発してすぐにオーバー手袋に穴が空いているのを発見した。まあ小さい穴やし問題ないやろと思ってたら5分もたたないうちに耐えきれないくらい冷たくなり指の感覚もなくなってしまう。
替えの手袋を持っていたのですぐに交換して問題なかったが、冬山ではそんな些細なことでも命取りになりかねないと改めて気を引き締める。
途中からトップを行かせてもらったが、ルート選択が難しかった。基本的には尾根沿いを進んでいくが、急な箇所に差し掛かった時にそのまま直登するか斜面を捲くかの選択を迫られる。最初のポイントでは斜面を捲いてみるが深い雪に足を取られて時間がかかってしまう。そこで次のポイントでは直登してみる。いやらしいリッジだけど登り自体は快適だなーと思いきや行く手に断崖絶壁、大内さんが雪の中に埋まったビレイポイントを見つけてくれてなんとか懸垂下降で降りる。どうやらこのピークが七峰だったようだがここは捲いて行くほうが断然早かった。
次第に天気が悪くなってきて雪のちらつく中、六峰への登り、岩と雪のミックスした斜面を所々ロープを出して登る。ピッケルとアイゼンが効くところを探りながらクライミングしていく。手は冷たいがテンションが上っているので身体は熱い。
岩と雪と格闘しながら無理くりでもどうにかして登っている瞬間がアルパインやってるっていう実感があってすごく楽しい。
六峰をすぎ5・6のコルに辿り着くころには時間はすでに11時過ぎ、タイムリミットの12時まで1時間を切っている。さすがに頂上までは無理と判断してチーム中嶋はここで撤退。チーム大内は時間ぎりぎりまで先を目指すが結局五峰の頂上手前で引き返すことになった。
八峰までの帰り、雪の降る量も多くなってきていたがルートもはっきりしており思ったよりも早く帰ることができた。途中何回か懸垂下降をして降りた。
大晦日の夜、夕食に年越しそばを食べる。
ラジオで紅白歌合戦を聞きたかったが始まるのを待っているうちに寝てしまった。
1月1日(金)
元旦の朝、初日の出がきれいに見える。
今日の予定は一気に坂巻温泉まで。本音を言えば予備日も2日あり体力的にもまだまだ余裕があったので昨日のトレースを辿って再度アタックしたかった。全然帰りたくなかったが天気も崩れてきそうだし、そうも言っていられないのでさっさと下山する。
稜線上では吹き飛ばされそうなくらい風が強い、途中降りる道が右か左かわかりにくい箇所があったが中嶋さんが確認に行ってくれて右はダメとのこと、正しい左方向へ進む。下るときには降りる尾根をちゃんと気を付けてないと間違いやすい。
順調に下山するが天気も良くなってきて気温も上昇、冬山とは思えないぽかぽか陽気の中だ。
徳沢で休憩し、上高地までの長い道のりをひたすら歩く。このだらだらと長く平坦な道が一番しんどい。
天気も良く大正池や上高地からの景色はすばらしいが歩きながら登れなかった悔しさがわいてくる。
八峰から頂上へのピストンは思った以上に長く大変で、どうしたら登れるかと考えていた。
川平さんと深美が一足早く坂巻温泉に車を取りに行き、みんなを拾ってまた温泉へ。
行きとは違い、帰りの道路には雪が積もっていたり凍結しているところがあって少し緊張しながら運転する。
サービスエリアで夕食を済まし、なんとか終電に間に合う時間に無事大阪へ到着。
八峰から大阪まで長い一日だった。
(感想)
目標は前穂高岳登頂だったけど結局は五峰にも到達できず、頂上はまだまだ先でした。
天気、コンディションは悪くなかったので単純にスピードと実力が足りなかったと思います。
ただルート選択のミス等なくても八峰から1日で往復するのはかなり難しいと感じました。
今回はビバークしてでも登頂を目指すという感じではなかったですが、ベースを八峰より前進させてビバーク覚悟であれば登頂するチャンスはあると思います。
条件が良かっただけに不完全燃焼でしたが、いつかまた実力積んでリベンジしに来たいです。
文責/深美