2016夏合宿 8/118/14
森田 辻 川平 池崎


お休みの関係上、行きも帰りも室堂〜熊の岩間は自分1人での行動。劔沢の雪渓状態が心配であるが、兎に角行くしかない。

8/11(
) 快晴
バスが5:52に富山駅に到着。いつもながら良く眠れない。
富山〜室堂間の直通バスは空きが無く、黒部アルペンルートで室堂まで向かう。
8:50
室堂着で、トイレやら準備やらで9:10から歩き始める。たまには1人の歩きもいいもんだ。
すると「オッ、川平さん?」と声を掛けられて吉田さんと遭遇した。
劔本峰経由から帰っているという事で、本峰でラジオ体操をしたかを聞くも、6:40だったので、と言うかやる気が無かった様子。(雪彦山に行った時にその話題が出てたのに…)
一応、それとは別に気になる雪渓状態と、長次郎谷の情報もらう。
その際に早稲田岩小屋辺りが滝になっており、左のルンゼを行くのがいいとアドバイスを受ける。
12:40
劔沢小屋をでて、いよいよ劔沢を下り始める。前日の辻さん情報を頼りにクレバスを越えなきゃならない。
ただ、夏道がちゃんとあるので、長次郎出合までは問題無くこれた。
途中、工事関係者に熊の岩までは出合いをちょっと過ぎた所に吊橋があるからそこを渡れとアドバイスを貰っていたが、出合いにそんなものはない。

重いザックをデポして偵察に出掛けるが近くでは確認出来なかった。昨年の春合宿の記憶を思い出し、確か吊橋はかなり下らないと無はず。

元来た道を引き返し、今度は上部に上がり、出合いのクレバスを観察して、安全と思われる所を探しながら歩いて行く。
何とかクレバスを越え、早稲田の岩小屋まで来るとシュルンドがスゴく、一体どこが左のルンゼか良く判らないが、兎に角行けそうな所を行く。

最後は1m程ジャンプして、岩に張り付いた。さすがにビビりました。
熊の岩が見え近付いて来ると、上から辻さんが「川平さん〜!」と大きな声で叫んでくれていた。こちらからも手を振り応える。

すると、近藤くんを引き連れ迎えに来てくれて、自分の重いザックを気遣い、幾つかの荷物を持ってくれた。この2人の行動には本当に感激した。(ありがとう!)
17:00
何とか無事に熊の岩到着。
テント割で、森田、辻、川平の3人だったが、森田さん軽量化の為、シュラフ持って来ず、

代わりにシュラフカバー2枚を持って来ている(体積シュラフと同じ。重さはどちらかと言えば重いんじゃないかな?これって軽量化なのかと甚だ疑問?)

そう言えば、昨年の夏合宿も同じで「寒い寒い」と言っていたらしい。今回も寒いから森田さん真ん中で、自分と辻さんとで挟んであげることして就寝。
確か3時か4時頃だったかな?森田さんが寝言を言っている。「この薄情もん!1mも離れやがって〜!」と。
うん?これ寝言じゃあないなと思い、「森田さん〜寒いの?」と聞くと、めちゃくちゃ寒いとのこと。

辻さんと2人して、森田さんにシュラフごと覆い被さり、「これでいい?」と聞くと、「暖かくなってきた〜」と嬉しそう。辻さんは「しょうがないおじいちゃんや〜」と言いつつも、優しく対応してくれた。

8/12(
) 快晴
5:00
起床 7:00出発
BC
からフェースの取付きには、一部雪渓を渡るのだが、朝一は滑りそうで怖い。先頭の森田さんが、ピッケルで足場を作りながら進んでくれた。

Dフェースの基部にも雪渓が残っていたが、そこは巻いて行けるので問題はない。
@Dフェース 富山大ルート(森田、辻、川平)
7:30
取付 川平オールリード

1P目 下部フェース〜凹角状スラブ W+20m
出だしは身体もあったまっていないのと、少しいやらしいこともあり、いきなりモタつき始めてしまう。

見かねた森田さんからは、一旦降りて2m程右側のバンドをトラバース気味に左上しながら行くようにと指示を受ける。

多少ロープの屈曲はあるが、確かに朝一の身体にはこちらのルートの方がオススメかも知れない。
10m
程伸ばしたところから左に巻き、若干薄被りを越えれば終了点があった。

2P目 凹角〜スラブ V 30m
さらに左上していくと途中で草付きにでて、小さなフェースを登ると終了点となる。ただ3人では少し手狭だったかもしれない。

又、狭いのとロープの処理もあまりよく無くて、この辺りからロープが絡まり始めた。もう少しロープ捌きを練習しなければと反省。

3P目 スラブ W+ 40m
薄被りを超え、さらに左上して行くとなかなか高度感が出てくる。
森田さんからは、ルーファイで間違うと、とんでもない所に行くから注意する様にとアドバイスを受けるが、至る所にピンがあり迷い易い。

実際に最後の辺りは薄被りのフェースを直登してしまう。本来なら右巻きの優しい凹角状を行けば簡単なのだが、ついつい目の前のピンに釣られてしまったようだ。

森田さんからも「えらい所を登っとるな…」とため息が漏れていた。確かに登山靴の森田さんには厳しかったなとまたまた反省。ただ辻さんは余裕で登って来るからすごい。しかもずーっと喋りながら…。

4P目 バンド左上〜リッジへ W 30m
バンドを左上しつつ、両側がスッパリと切れたりリッジにでると、高度感もあり気持ちがいい。又、天気が良いので、気分爽快である。

ただ、流石にこの辺りから疲れが出てきてしんどくなってきた。(オールリードに2人の引き揚げが続くので…)

5P目 リッジ W 30m
あとは簡単なリッジを行くと草付きにでてくるが、もう喉がカラカラになって、セルフをとり即水を飲んだ。

6P目 リッジ U 30m
高度感のあるリッジを抜ければDフェースの頭に到着。これといって難しい箇所は無いピッチ。頭からは明日行く予定のチンネ左稜線がよく見える。

流石人気ルートだけあって結構な人数が登っているのが見えた。明日も混むだろうなと思えた。
全員が上がってきたのが11:30。定時連絡の12:00までまだ余裕があるので、56のコルの懸垂ポイントまで下ることに。

無事に無線交信も終えた後、森田さんと別れ、川平&辻さんの二人で今度はAフェース魚津高ルートを登る事にした。

AAフェース 魚津高ルート(辻、川平)
先行パーティーがいたので、少し休憩した後、取付く事にした。辻さんには、「まっ3ピッチやし、ゆっくり登ろー」とついつい余裕をかますが、実はかなり疲れていたので、早くは登れる自信はなかった。

1P目 W チムニー 40m 川平リード
最初簡単な凹角を越え、その後カンテ右側を登るとテラスに到着。特に難しいところも無く、快適だったが、しんどい。

2P目 V カンテ〜クラック 40m 辻さんリード
もう疲れていたのとV級というのもあり、ここは辻さんにリードは交代してもらう。やはり2人のつるべだとロープもスムーズ。

早々に辻さんからのビレイ解除のコールで自分も登り始めるが、フォローだと気分的に楽である。カンテを登りつつ、景色も堪能しながら登る事が出来て非常に楽しい。

3P目 U リッジ 40m 川平リード
あとはハイマツ混じりの優しいフェースとリッジをいくだけ。最後は適当な木でビレイをする事にした。
14:30
辻さんも上がってきて、無事の登頂を喜んだ。
上から見ると、長次郎谷を登る3人組みを発見。時間的にもあれが中嶋さん達かな〜?と思いつつも、肉眼では判別は出来ない。

辻さん、大きな声で、「小林さ〜ん!」と叫んでいる。流石に届かない。
さて、そろそろ降りるか思うが、どう探しても1回の懸垂で降りられそうなポイントがない。
辻さんに昨日はどこから降りた?と聞くも、良く憶えていないらしい…。(オイオイと言いたいが、昨日は緊張してたから良く憶えていないんだな〜。辻さんも案外かわいい所がある)
一箇所懸垂用のスリングがあるが5-6m程降りるだけのようだ。

ただ先行パーティーもそこを降りて行った様だったし、降りた所からチョット行ったところで先行パーティーが休憩をしている。

声をかけてみると、懸垂渋滞中で順番待ちらしい。何はともあれ、懸垂ポイントが分かったので、我々も一旦そこまで降りて、日陰で休憩。

ただ、長い。長すぎる。順番待ち(6人?)とは言え、懸垂でそんなに時間がかかるのか?と思っていたらどうやら新人が先輩に色々とご指導を受けながら降りている模様。

おいおい、練習してから来いよと思いつつ、結局1時間以上も待たされる結果となった。

8/13(
) 快晴
元々はチンネ左稜線を行く予定が、前日の森田さん行きたく無いオーラ全開(初日に吉田さんとチンネに行ったのが相当しんどかったのか?)もあり、結局この日も6峰のフェースを登ることとした。
4:00
起床 5:00に辻さんを見送り、5:30出発

@Cフェース 剣稜会ルート(森田、池崎、川平)
6:00
取付き到着。熊の岩からみていると傾斜が緩く感じるが、このルートはレベルの割に(V級)よいルートと聞いていたので少し期待はあった。この日も川平オールリードをさせていただく。

1P目 V スラブ 40m
スラブをクラック沿いに40m程伸ばす。

2P目 V 凹角〜フェース 40m
凹角を越えると右にハイマツが出てくる。フェースには色々ピンがあるので迷い易いがとりあえず登り易い所を選んで登っていく。

3P目 V フェース〜リッジ 40m
フェースから左にルートをとり、リッジに出てきた時には思わずこのキレキレには感動!

クライミングを始めた頃なら足がすくむが、今は高度にも多少慣れてきたせいか、「自分スゴイとこ登ってる〜」って感じでテンションがあがってしまう。

4P目 U リッジ 20m
高度感のあるリッジを少し登ると大きく右側に行くのでロープの流れは悪くなる。そしてメインディシュのナイフリッジが登場。

いくら高度感に慣れたとは言え、立って歩く勇気はなく(しかもリードだし…)、最後は馬乗りの状態で馬のお尻をペンペンする程度しか出来なかった。まっ、お約束かな。
ビレイポイントも分かりずらく、ナイフリッジの終わり直ぐ左の壁にハーケンが3-4つあるので、そこをビレイポイントにしたが3人では狭すぎた。
5m
程進んだハイマツ帯の上部のほうにもスペースがあったがロープが届かないかも?と思ったので、超狭い場所だったが、まっいいかと考えた。
ラストの森田さんが上がって来て、ロープの流れも悪いということで、先ずは池崎さんがハイマツ帯上部までいき、ビレイポイントを構築して、森田さんがそのまま登っていった。

5P目 U リッジ 25m
森田さんからコールがあり、あとは歩く様に登って行く。頭に出ると池崎さんもこの好ルート(剣稜会)には感動しているようだ。
とりあえず懸垂ポイントまで降り、後もう一本行こうという事でAフェースまで来るが、えらい順番待ちの状態であった。

無線交信もあるので、岩小屋の日陰で涼をとりつつしばらく休憩後、魚津高ルートを昨日に続き登る事にした。
森田さんからは中大ルートを進められたが、一応ここは慎重に行く決断とした。(クライミング内容は省略)

8/14(
) 快晴
みんな左俣〜北方稜線〜劔本峰経由で帰るので、自分も同じルートを辿る。
大量のゴミとカンカンをザックに詰め、4:30出発。微かな抵抗で瓶は残置。中嶋さんから、安全の為にロープも持って行けと言われたが、その手には乗らん!
左俣は悪い。辻さん、良くこんな悪いところを1人で登ったなとやけに関心した。自分は先行者2人が岩を落とし続けるので、避けながら進む。あー怖わ!
何とかみくりが池温泉で温泉に入ることだけを考え、必死のパッチでなんとか、11:55に到着し、3日間の汗を流す。
温泉後、室堂でソバを食べ、自宅のある横浜へと向かった。

初日から最終日まで快晴が続き、素晴らしいお天気の中で良い仲間とクライミングが出来た事は幸せでした。

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文章 川平/写真 辻、池崎