八ヶ岳
横岳中山尾根、赤岳主稜
日時:2016.3.19-21
メンバー
アルパイン組: 川平、松並、榊原
縦走組: 辻、平山(見学)
3/18(金)
22:00JR大阪駅 モンベル前集合し、見学の平山さんの自家用車で出かける。
いつもの夜行バスとは違い、ワイワイ、ガヤガヤ大いに盛り上がり目的地へとドライブ。
諏訪SAにて一旦仮眠休憩をとるが天気はずーっと雨で、明日晴れるという感じが全くしなかった。
3/19(土) 雨
仮眠から覚めてもまだ雨は降っていたが、兎に角八ヶ岳に向け移動開始。美濃戸口に到着してもまだ雨が降っており憂鬱に。
幸いにも道には雪が無く、やまのこ村駐車場まで車で進む事が出来た。行き帰りの1時間の短縮は正直助かる。
6:30 駐車場に着くも一向に雨は降り止まず、そのまま駐車場で待機。
天気予報を確認していると8:00-11:00までが小康状態になると予想出来た為、意を決して8:00過ぎに出発した。
1月に来た時は殆ど雪が無かった南沢も、今回は先週末に降った雪があるのか、そこそこ雪はある。
皆んな殆ど寝ていないのにまあまあ元気。今回、縦走ではあるが、平山さんと辻さんも参加。
さすがほぼ毎週、何処かの山に出かけるだけあって、体力的には十分にあるようだ。
辻さん、20kg以上のザック担いで登ったことない〜とか言ってたげど、終始笑顔で元気そう。
写真を色々撮ってくれたりして、いいムードメーカーになって頂きました。
10:40過ぎ行者小屋到着。幸いなことに雨は上がっていたので先ずはテント設営開始。
なんやかんやで時計を見ると11:45過ぎになっていた。
午前中に降った雨と上空のガスガス、寝不足と疲れから、今日のこの時間からでは厳しいと判断して、
赤岳主稜は諦め、今度行くであろう(?)石尊稜の取付き偵察に出かける。
因みに縦走組はそのあたりをブラブラすることに。
途中道を間違え樹林帯をうろちょろしたが、なんとかトレースを見つけそれを辿っていく。
トレースも跡切れこの辺りが取付きだと思い3人で探し回るも全然見つからない。
中嶋さんが解りずらいと言っていたのが思い出される。
結局見つからぬまま、ウロウロしていたら、他パーティの偵察隊が到着し、取付等、色々と教えて頂いた。
元々、石尊は行く予定では無かったので、準備もしていなかったこともあり、彼らが来てくれてホント助かりました。
偵察も無事(?)終了したので下山開始。すると外人2人組が「ジョウゴ沢ハドコデスカ〜?」と聞いてきた。
あまりにも方向が違うので、彼らは後ろの人達にお任せして、我々はサッサと下山。(なにからなにまで面倒をみてもらいスミマセンでした)
テントに戻ると辻さんが夕食の準備中。今夜は鳥野菜鍋らしい。
どうやら軽量化のために、カットした野菜を2日間天日干しにして持ってきたとのこと。
なんとなくしわしわになった野菜をみて、正直これで大丈夫なのかと思っていたが、意外にこれが普通に美味い。
超ビックリ!さすがウルトラライトのソロハイカーの知恵かと変なところに感心。
お酒も入り、テント内は大いに盛り上がるが、正直自分は明日の中山尾根 上部岩壁のW+ハング越えが心配で仕方が無い。
明日に備えてこの日は19:30に就寝した。
3/20(日) 4:00起床 快晴
食担は松並さんで、朝から料亭の味を堪能。いつもながらの美味に感謝。
少し出遅れ6:30出発。取付き7:15過ぎ到着するも2パーティ待ち。しかも直前パーティは昨日の「ジョウゴ沢ハドコデスカ〜?」の外人だった。
なんて奇遇なんだろう。待ち時間中に色々と会話を楽しむと、どうやら彼らは英会話学校の先生らしく、広島から車でやってきたそうだ。
中国地方は大山しかなく、物足らないらしい。
8:30やっと順番が回ってきた。
外人さん含め皆さん最初の離陸でもたもたしている。
中嶋さんが難しいと言っていた事が思い出される。ただトポでは右に巻いた所が取付きらしく、V+凹角になるはず。
まあでもこちらの壁の方が面白そうなので、そのまま正面壁を行く。
1P目 W スラブ状 松並さんのリード
離陸後、最初のピンと次のピンの間が少しいやらしくうまくホールドがとれない箇所があるらしい。
松並さん相当迷いながら「行けそうにないわ〜」を連呼。
最終なんやかんや言いながらも、意地を見せて突破!
その後は左上方向に凹角の階段状と本来のルートに繋がっているところを登っていくが、下から見てても最初さえ越せばあとは難しい感じはしない。
セカンド榊原さんも同じ所で苦労し、少々時間が掛かっている。
腕もパンプしたらしく、登れるかとこちらも内心ヒヤヒヤしたが、持ち前のガッツで見事突破!
自分も少し悩むが、既に前2人の登りをみていたので、それほど時間かけずに登れることが出来た。
2P目 凹角W〜草付き 川平リード
凹角はホールドも豊富にあり、特に厳しい所も無い。岩稜を越えると草付きの雪稜になり、20mも行けば終了ぽい。
アンカーは立木を使用してのビレイ。
2人が上がってきた所で、コンテで100m程歩く。
10:00頃、上部岩稜に到着するも、またもや順番待ち。やはり3連休は多いです。
丁度その時、定時無線連絡が入る。辻さんからだ。用件は「今どこ?」です。
彼ら無事に硫黄岳頂上に着いたらしく、天気もいいので調子がいい。
松並さん、初めての無線に緊張したのか、つい「もしもし、こちら松並です」と応答。思わず榊原さんと2人で大爆笑!
おいおい、それ電話じゃないよ〜
もし松村さんがここ居たら、まず3年間はお酒の席で言われ続けるであろう。
3P目 凹角V 川平リード
テラスまでの凹角はホールドも豊富。
前の外人パーティも渋滞でハング越えた直ぐ上でビレイ中。
テラスには良いぺツルがあるので、自分もそこでピンを切り一旦ビレイポイントとした。
4P目 凹角上部ハングW+ 川平リード
いよいよ本日のメインディシュのハング。気合いを入れて行くが、んっ?結構簡単やん。これマジでW+?
自分としては不動岩の砂かぶりをイメージしていたので、全然ユルい感じに拍子抜け。ガバホールド沢山あるし…。
確かにテラスから見てても難しそうには見えないし、仮に落ちても直ぐにテラスがあるので、気持ち的にも安心感はありましたね。
ロープを伸ばそうと思うが、屈曲で流れが悪くなると判断して、超短いがハング直上でぺツルが2つあるのでそこでビレイすることにした。
5P目 雪稜 松並さんリード
難しい箇所も無く、最後の岩壁までロープを伸ばす。
6P目 岩壁〜ピナクル越え 川平リード
ガバ豊富な岩壁を越えたらピナクルがある。クライミングよりも今回は何故かビレイがしんどい。
最後の部分まで来るとマジで腕に力が入らない。
オーバー手袋も滑るためオーバーは外し、インナーでピナクルを越すことにした。
登りきると外人さんがビレイ中。日ノ岳頂上を登っているようだ。
岩角でビレイしようかと考えたが、場所が安定せず暫し待機。
直ぐそこにはトサカ岩、右を見れば縦走路がありハイカーの姿も見える。
ただ松並さん達へのコールが届きにくく往生した。
2人が到着後、我々は日ノ岳頂上には登らず、トラバースして縦走路に出る。
13:30 3人で登攀の成功を祝し固い握手を交わす。時間的にも体力的にも硫黄岳経由の縦走は諦め、地蔵経由でBCに戻る。
途中、榊原さんはシリセードに夢中。なんか若いっていいですな。
小屋でビールを購入して、本日の無事登攀出来たことを祝い5人で乾杯!
縦走組のお二人は早々に帰っていたので、既にいい感じに出来上がっており、何故か榊原さんの炊込み御飯を作っていた。
その後、豆乳入りのシチューを作り、酒盛りをしつつ今日のクライミング談義に花を咲かせた。明日は初日に行けなかった赤岳主稜を行く。
3/21 3:30起床 雲→小雪→快晴へ
出前一丁とゆで卵で早々に朝食を済ませ、5:30出発。外はガスガスだしなんか寒い。昨日とは全く違う天気に不安がよぎる。
尚、赤岳主稜は榊原さんの記録(以下)でどうぞ!
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赤岳主稜(2016/3/21)
メンバー 川平さん、松波さん、榊原
5:30行者小屋を出発。一面ガスっていた。文三郎道をあがり、分岐からトラバースして6:30取り付きに到着。
分岐まではなかなかの急稜で朝大量に食べたラーメンを後悔しながら必死に登った。
先行に2パーティーがいたので、休憩しつつ準備をして7時頃取り付いた。
1P川平さんリード
前が詰まっていたのと、屈曲が大きいので通常より短いピッチで切った。
雪がついていたのでチョックストーンの上を登った。その後はルンゼを上がり、終了。
2P川平さんリード
本来なら1Pの終了点となるところまでの20m程の雪稜をあがる。
3P榊原リード 本番初リード!!怖かった・・・。
張り切って取り付く。階段状の岩を5m程登ったところで視界が開ける。
私としてはそろそろプロテクションをとりたいのだが、とれそうなところがまったく見当たらない・・・。
かなり迷ったあげく、しかたなく岩にスリングをかけて気持ちを軽くしたが、やはり外れていたらしい。
どこを登ればいいのか迷ったが、かろうじて前パーティーの人がみえたので、正面右方向に進むと残地支点を発見。
ピッチを切った。ランナウトで登ったようなもので怖かった・・・。
最初の岩を数メートル登るとあとは緩やかな雪稜で、雪もしまっていて状態がよかったので苦労することなく登れました。が、怖かったです・・・。
4P川平さんリード
雪稜のリッジを20m程上がる。
5P榊原リード
中間の岩場。ちょっとした岩壁を越えるとゆるやかな稜線を上がる。
ここはプロテクションもとれたので、気持ちは楽でした。
前パーティーのビレイ中の方が「もうちょっと上にペツルがあるからそこで切ったほうがいいよ。」とご親切に教えてくださり、そこまでいくことに。
でも、あと10mの声が聞こえる・・・。ロープが重い・・・と思いながら苦労して登っているとがんばれの声が。
ご親切にありがとうございました。
6P川平さんリード
雪稜と岩の斜面。上部岩壁の取り付きまで約40mをランナウト。
7P榊原リード
上部岩壁。ごつごつした岩場が続くが凹角っぽく、中間支点もあり、岩場を抜けるとすぐにペツル2つの終了点もあり、快適でした。
ガスも晴れてきて、いい感じでした。
8P榊原リード
緩やかなミックス帯。が、ここも中間支点がとれず、怖かったです。
気持ち程度の小さなピナクルにランナーをとり、終了するか考える。
前パーティーはここで終了していたのですが、思ったより不安な岩だ・・・
ともう少し先に小さいチムニーのような岩場がみえたので、その下までいってみることに。あと10mの声が・・・。
ピンがあったので50mぎりぎりで終了。屈曲も多く、ロープが重かったです。
9P川平さんリード
凹角状の岩場を抜けると緩やかな稜線にでました。終了点は岩角にて。
その後、コンテで縦走路にでて12:10登頂。
写真撮影と休憩をして、文三郎道から下山。
途中何度もロープがからまってしまったこと、もう少し早めにピッチを切ってもよかったことが反省です。
怖い怖いを連発しながらの登攀でしたが、終了すると大満足です。
今までにない達成感でした。楽しかったです!川平さん、松並さんありがとうございました。
ーーー
時間はかかりましたが無事登攀終了。
榊原さんも半分以上リードしたことで、少々興奮気味(?)な様子とその後の安堵感が伝わってきました。
粉雪チラつき、-10℃と結構寒かったけですが、中々楽しいクライミングでした。後半は晴れて眺めも良かったです。
BCに帰ると縦走組のお二人が既にテントを片付けてくれていました。お二人には感謝です。
14:00前には行者小屋を出て、やまのこ村には15:30頃到着。下の方は雪も溶けていますが、所々アイスバーンで滑ります。
最後は温泉に入って、大阪に帰りました。
平山さん、運転お疲れ様でした。
文章/川平、榊原 写真/辻、松並
(写真)
中山尾根
上部岩壁
中山尾根
上部岩壁 3P目凹角を登る
1日目終了(テント場にて)
縦走組のお二人
赤岳主稜を目指し文三郎道を登る
赤岳頂上にて
無事下山