(7)報告詳細

3/18()

10時のキャセイ便で関空を発つ。先発隊はK山岳会のIさん(隊長)、パーソナルのWさん、そしてアルデの森田さん、中嶋さん、私の5名。

Iさん、森田さん、中嶋さんはテンカンポチェ隊。BCまでは同一行動となる。

アルデの松原君が自製のビール(違法酒ではありません)を持ってお見送りに来てくれた。

香港での乗継時間が5時間以上もあったおかげでやたら遠かったが、22:30頃、ネパールのトリブバン空港にたどり着く。

ガイドリーダー(いわゆるサーダー)のツルさんがマリーゴールドの首飾りを持って迎えに来てくれていた。

ツルさんが手配してくれたタメル地区の「アスターホテル」に移動し、この日は早々に寝る。女子ひとりなのでシングルルームを用意してもらった。

なお、シングルは118ドル、ツインは120ドル(朝食付き)。安いホテルだが、Wi-Fiも使える。ていうか、今や市内のホテル・レストラン、エベレスト街道のロッジでもWi-Fi使えるのは当たり前。

 

3/19()

ホテルの屋上で朝食後、ホテルのロビーでツルさんと打ち合わせ。付いてくれるスタッフや準備してくれた装備について説明を受ける。

その後、日本山岳会から借りる/頂く装備・食料を確認する為、コスモトレックへ。タメルから30分ほど歩いていく。

ネパールは2回目だが、この間地震があった。3年半前の前回と同様、カトマンズの道路は舗装がボロボロ、埃だらけで歩きにくい。特に地震による変化は感じられなかった。

車はビュンビュン走るが信号は無い。慣れないと道路を一人で渡るのも一苦労。必死でツルさんに付いていく。

日本山岳会のデポがあるコスモトレックの倉庫を借りて、事前にもらっている表と実物を照らし合わせて確認。

ソイジョイ156本、スポーツ羊羹100本、大量のα米、ガス缶、カラビナ、スノーバー…をいちいち数えていく。なかなかの重労働だった。

ガスは空路で運べないので、先に陸路でツルさんが送ってくれているとのこと。そしてフィックスロープを見てびっくり!トラロープの色違いにしか見えない…。

いつも使っているダイナミックロープの伸びないバージョンを想像していたので、強度が心配になるが、聞けば太さは8mちょっとでユマールも効くし、強度もクライミングに対応しているらしい。

まあ確かにこちらのロープの方がかなり軽いし、価格も安いのでしょう。カムは現地ガイドはあまり使い慣れていないらしく、「使ってみる?」というノリで3つだけ持っていくことにする。

なお、デポの食料はテンカンポチェ隊が使用。クライミング装備は両隊共同で使用する。

 

 2「装備確認中」

 

遅めの昼食の後は、両替を済ませ、ホテルの部屋でクッタリする。

前回のトレッキングではルクラへの国内線が4日も飛ばず、その間にカトマンズの埃とストレスにやられて、風邪を引き、そのおかげで高山病になるという、散々な旅だった。

今回も23日にルクラに向かうまで、4日もカトマンズに居なくてはならない。余計な街歩きは控えよう。

 

せっかく時間があるのでシャワーを浴びてみる。3年半前は停電が多く、熱いお湯は出なかった。

今回も恐る恐る温度を確かめながら浴びるが、電力事情が改善されたようで、熱々のお湯が出て安心する。

…が、冷水の蛇口をひねっても水が出ないので、熱々すぎて慌ただしいシャワーとなった。

 

 3「トイレの脇にシャワーがあるだけ。お湯が出てくれれば十分。」

 

この晩は、大衆食堂風の「ギリンチェ」で夕飯。ここでは「トンバ」というヒエを発酵させたネパールのお酒が飲める。

専用の容器に入ったヒエにお湯を注いで、ストローでグチュグチュしてアルコール成分を浸み出せながら頂く。

さわやかな風味で私は好きです。森田会長もお気に召したご様子。

帰ってホテルで顔を洗うと、埃対策でマスクをしていたのに、真っ黒い鼻くそがいっぱい取れた。

カトマンズに来たことを実感する。カトマンズの喧騒に疲れて、すぐに眠りについた。

 

4「トンバを楽しむ森田会長」

 

3/20()

今日は行動食の買い出しに。テンカンポチェ隊は大量に必要なので、大型スーパーに連れて行ってもらう。昨日よりさらに長い小1時間歩いてバドバテニスーパーマーケットへ。

コンデリ隊は数日分なので、さっさと終了。テンカンポチェ隊の量はスーパーのカート数個分!

ツルさん、ラムさん、従弟のキタップさんで箱に詰めて、車で運んで行った。我々は、ツルさんと歩いてコスモトレックに行き、昨日運ばなかった食料を手分けして運ぶ。

この日の昼食は近くのインド料理店へ。カレーとタンドリーチキンが旨かった。そしてまたもや歩いてホテルに戻る。今日も結構な距離を歩いた。

登山準備もほぼ終了したので、23日のルクラ便を22日に前倒しできないか、ツルさんに相談してみるが、22日に変更すると遅い時間の便になってしまうらしい。

ルクラ便は早朝は飛ぶが、遅い時間だと欠航になることが多いので、下手に変えない方がいいということで納得する。

 

夜はちょうどネパール滞在中の関東の師匠を交えて、日本料理店「おふくろの味」に食事に行く。

新旧師匠をネパールで対面させることが出来るなんて、とっても素敵な思い出になった!!もっと時間があれば募る話も出来たのですが…。

その後、タメルをプラプラし、凍傷予防にダウンのミトンを購入。1500ルピー(約1,500円)也〜。モンベルのは13,000円くらいする。

日本で買おうか買うまいか散々悩んだが、買わなくて良かった。なぜかおもちゃのカラビナ付いてきた。(おそらく店頭に飾るのに使っていたのを取り忘れたんでしょう。)

 

 5「タメルで変な楽器を売りつけられる人々」

 

3/21()

今日はツルさんの勤めるSnowy Horizon Treks and Expeditionに寄った後、観光局に登山許可証をもらうための面談に。

コンデはトレッキングピークなので既に許可証を取得済みだが、テンカンポチェはトレッキングピークに含まれずエクスペディションになるので、隊長の面談が要るらしい。

せっかくなので全員で行く。これまたかなりの距離を歩いて観光局へ。観光局のトップ?の部屋に5人とツルさん、ツルさんの会社の人計7名がギュウギュウに押し込まれて、面談開始。

といってもさほど大したことは聞かれず、無事許可がおりた。許可書上はナムチェから登ることになっていて、それだと北面側になってしまうのだが…(実際は南面から登る)。

ネパールらしいおおらかさ(適当さ?)だ。ところで、部屋の奥の一番いい席に若いお兄ちゃんが座っていて、スマホばかりいじっていたけど、彼は一体何者だったんだろう?

 

 6「コンデの許可証。実際は南面から往復だが、これも北側のナムチェに下ることになっている…。コンデ南北横断…。実現したら初登かも?」

  

帰ってから、タメルで買い物。

海外経験豊富なテンカンポチェ隊のNさんから、どこでも人目を気にせず用足し出来るように、スカートあると便利だよ、と聞いたので、巻きスカート(600ルピー=約600円)を購入。

この他、ナルゲンの500mlボトルが300ルピーと安かったので、ペットボトルの代わりに購入。これはホンモノと思ったが、真偽のほどは…?

この日はツルさん、コンデのガイドのラムさん(ツルさんの弟)、従弟のキタップさんを交えて、伝統的なネパール料理(結局ダルバート)と踊りが楽しめるレストランで夕食。

ちなみにツルさんは4人兄弟(+姉妹)で、長男がツルさん、次男がパサンさん、三男がサンタマさん、四男がラムさん。(パサンさんは竹内洋岳さんのヒマラヤ未踏峰マランフランに同行中のため、今回は会えなかった。)

キタップさんは、エベレストにも何回も登ったことがあり、ツルさんが「強い」というほどのガイドさん(ただし日本語は話せません)。

今年は4月から石井スポーツの奥田さんのエベレストに同行するとのこと。

せっかくのディナーなので購入したスカートを履いていったが、これとロキシー(ネパールの焼酎で、めちゃアルコール度数強い)で調子に乗ってしまう…。

ノリのいいラムさんに乗せられて、なぜか私もステージで踊り子さんたちと踊る羽目に。

森田さんもロキシーをグビグビ…。当然、二次会に流れる…。登る前からこんなに羽目を外していいのか!?

 

 7「みんなでディナー。まるで登山後のようなノリ…。」 

 

 8「二次会に行ったバー。タメルチョークにあります。」

 

二次会はタメルの中心部にある賑やかなバーのようなところへ。

ステージに着飾ったお姉さんと普通の服のおっさんが並んでいて、順々に歌っていく。

カラオケ大会かと思ったが、やたら上手いのでプロだろう。(後日、ラムさんに聞いたらプロとのこと。)

ここでもラムさんに乗せられて、踊らされる…。さらには中嶋さんも引きづり出された…。

ラムさんの行きつけらしく、きれいなママさんを紹介され、さらにはホテルを経営しているというラムさんの友達も合流。

盛り上がるラムさんを横目に、長男ツルさんは変わらず冷静…。しっかり者の長男とお調子者の末っ子の構図が面白かった。

 

3/22()

そんなこんなで若干二日酔い気味で、カトマンズ4日目を迎える。登山準備は完了したので、ツルさん宅に御呼ばれする。

ツルさんはカトマンズ郊外のコパン地区に住んでいる。この地域はタマン族が多く住む場所らしい。

お家に伺う前に、コパンゴンパ(ゴンパは「僧院」の意)にお参り。この日はさすがに車で移動。高台にあって気持ちのいい場所だった。

高僧からカタを肩に掛けて頂く。「カタ」はチベット仏教ではよく登場する白い布(カラフルなものもある)で、出会いや別れの際やお祈りなどに使う。

 

9「コンパゴンパ。高台にあって空気もきれい。」

 

 10「ツルさんちでご飯♪。3階建ての立派なお家。リビングにはツルさんの初登証明書の数々が飾ってありました。」

 

ツルさんちで昼食(ダルバート)を頂くが、ビールまで出してくれた。

これまでカトマンズで飲んだビールは生ぬるいものばかりだったが、カトマンズイチ冷えていてちょっと感動。

奥さんや娘さん、末っ子の長男と挨拶。娘さんはかなりのスンダリ(美人)さんだった。

この日の晩も日本料理店「おふくろの味」へ。生姜焼き定食を食べたが、完璧、日本の味だった。

 

3/23()

今日はいよいよ山に入る!朝イチの6時半の飛行機なので、5:45にロビーで集合しトリブバン空港へ。手荷物、預け荷物の重量チェックのあと、バスに乗って搭乗。

3年半前はあんなに飛ばなかったルクラへの飛行機。今回はスムーズにここまで来て拍子抜け。

年末年始は欠航多いが、この時期は順調らしく、毎日飛んでるらしい。左右一列、20人乗り程度の小さいプロペラ機だが、美人スチュワーデスも居る。

離陸前に脱脂綿(耳栓)とキャンディーをくれる。行きは左側、帰りは右側が景色がいいと教えてもらったので、一番前の左の席をぶんどる。操縦席も見える!

そしてあっさり離陸。雲海の中に雪山がポコポコ浮かんでる。これからの山旅に胸も高まる…。

30分ほどでルクラに到着。急坂を利用した滑走路で有名なルクラのテンジン・ヒラリー空港。

「世界一危険な空港」なんて言われるほど事故が多いことでも有名だが、スムーズに着陸。ナイスフライトでした。

 

 11「トリブバン空港にて」

 

 12「飛行機からの眺め」

 

 13「ルクラの急坂滑走路」

 

ロッジで少し休んだ後、空港の近くのSPCCSagarmatha Pollution Control Committee)へ。

何のために必要だったのかよく聞かなかったが、ゴミの管理をしている団体みたい。ゴミ削減・清掃活動についての募金をする。

この日はThadoKoshiまで行くだけ。時間つぶしに、ルクラ散策。

小っちゃい白い子犬と遊んだり、土産物屋をやっている日本人の女性(TV「こんなところに日本人」に出演したこともあるそう)や日本人トレッカーのグループとお話ししたり。

日本人トレッカー&観光客は減っているらしく、久しぶりに我々以外の日本人に会った感じ。

ツルさんは色々と準備があるみたい。「知り合いの家でもらった」と肉をぶら下げて出てきた。

 

 14「ルクラの街並み」

 

 15「スターバックス?」

 

ロッジでトゥクパ(スープに入った麺料理。うどんのようなパスタのようなラーメンのような?)の昼食後、いざ出発!

今回の旅では、「指さしネパール語会話帳」を持ってきた。ニワトリが居たので「ククラー!」と、覚えたばかりのネパール語を使ってみると、通じたらしく案外ウケた。

せっかくのキャラバン。みんなと仲良くなりたい。

ルクラ(約2,800m)からThadoKoshi(約2,600m)までは緩やかな下り。

途中、桜を見ながらのんびり歩いて約2時間後、14時すぎに到着。クスムカングルが良く見える。今日はロッジ泊り。晩御飯はダルバートを食べた。

 

3/24()

7時朝食、8時出発。ThadoKoshiから少し先の「テント村」を目印に左に曲がり、ドゥードゥコシ(ドゥードゥはミルク、コシは川の意。

エベレストの氷河からの水で白く濁っているから?)に掛かる橋を渡って、対岸を登って行く。なかなかの急登。

今日からは高山病に気を付けねば。呼吸を意識してゆっくり歩く。途中からタムセルクが見え始めた。なお、橋を渡って民家があるが、ここから先に住んでいる人は居ない。

12時、キャンプ地であるヤクカルカ(約3,600m)に到着!すでにテントが複数張ってあって、まるでキャンプ場。これが我々だけの為なんて!

その上、4人用テントを12人で使う。女子は一人だけなので、私は4人用を1人占め!

早速、ダイニングテントに案内され昼食。ダイニングテントは中で立てるほどの大きさ!昼食はトゥクパとチーズサンド、ハム、トマト。ちゃんと飾り切りされている!

初めてのヒマラヤキャラバン。贅沢さにウハウハだが、スタッフが荷物を運んでくれたからこそなので、日頃、人に荷物を持ってもらうことに慣れていない私は同時に恐縮…。

 

 16「ダイニングテント」

 

 17「ダイニングテントの中」

 

 18「キッチンテントで調理中のニンマさん」

 

昨日からSpO2(血中酸素飽和度)を測っているが、面白がって、ガイドさんたちも測ってみる(ちなみに平地では通常98%)。

ツルさんは80%台、20代の若者ヘルパーは90%台、そして、50代のツルさんのおじさん(カカさん(=おじさんの意)と呼んでいた)は70%台!

思わず「サンチャイチャ?(お元気ですか?)」と聞いてしまったが、「サンチャイチャ!(元気です)」だそう。

私は、このとき90%台だったが、富士山と同じくらいの標高であるので、少し走ったり大きな動きをすると息苦しい。ゆっくり行動する。

その後、色々測ってみて、SpO2の値だけでなく、脈拍の値も高山病の症状に関係すること、そして、数値と症状には個人差があることが判明した。

夕方から雨降り出す。3−4月は秋と同様、トレッキングのベストシーズンと聞いていた。

季節の変わり目だから、こんな日もあるよね、と軽く思っていたが、今後、天候に悩まされることになるとは、このときは考えもしなかった…。

夕食後、ツルさんとミーティング。本来、ヤクカルカでは2泊の予定だが、雪が多く次のルムディンカルカまでルート工作の必要があるので、

ここで3泊し、明日は完全レスト、あさって4,100m付近まで往復して高度順応、その翌日にルムディンカルカに移動するという予定に。

3/10, 11に大雪が降ったと聞いていた。そもそも4,300mのモロ・ラの峠越えは急勾配で雪が降ったらひとつの関門になるかも?と予測していたので、想定内の話だ。

まだ日程に余裕があるので、のんびり構える。雨は夜半まで降り続き、冬用フライの我がテントは若干浸水した。

 

つづく