山域      黒部渓谷 丸山東壁 緑ルート

日時      2017923日(土)〜25日(月)

メンバー 大内、大内()

日程      922() 大阪出発→扇沢付近の無料駐車場着、仮眠

              23() 扇沢→(トロリーバス)→内蔵助谷出合()、アプローチ下見

              24() 緑ルート登攀

              25() 下山→帰阪

装備      ロープ50m(ダブルロープ) 1セット、シュリンゲ120cm X 2〜3本(=アルパインヌンチャク長目23セット)

60cmスリングで作るアルパインヌンチャクとクイックドローを合わせて15セット(チーター3本含)

アブミ2台(1セット)、フィフィ1つ、他クライミングに必要な標準装備。テン泊装備などは省略。

 

記録

9/23       小雨のち曇 黒部ダム内14

扇沢からトロリーバスに乗り黒部ダムで下車。旧日電歩道への出口へ向かう。登山者は他に数名。

私たちは3連休だが他の人は普通の週末で、天気がよろしくないので少ないよう。個人的には、ここに来るのは09年に下ノ廊下を欅平まで歩いた山行以来。

あの時、写真に撮りながら「登ってみたいなぁ、でも機会はないだろうなぁ」と思っていた丸東に登る日が来るとはなぁと思いながら歩き出す。

天気の回復が予想より遅い。しかし今日はテン場までとアプローチ偵察だけなので、多少天気が悪くてもいいや、と開き直る。翌日からの天気は回復予想だ。

 

1時間ほどで内蔵助出合に到着。真砂岳方面へ道を取り、坂を登り始めてすぐにテン泊適地を見つける目印の看板が。

あれ、こんなに近いんだ。この他に、出合を下ノ廊下方面に下りたすぐのところに1カ所テン場適地があるが増水がひどい時は避けた方が無難。水は内蔵助谷から取る。

 

テントを張ってアプローチ偵察へ。テン場から約20分で1ルンゼ押し出しに着く。

ここをつめてみたが、つめすぎて南東壁基部手前まで行ってしまった。丸腰だったので湿ったルンゼを下るのに冷や冷やした。

途中にあった「正面壁」と書かれた岩まで戻り藪を覗く。人的に折られたウドに踏み跡が見えたので突入。

ウド藪が面倒だったが、進んでみると踏み跡はしっかりしており「正面壁」岩から20分ほどで中央壁・緑ルートの取付に到着した。

下からは見えなかったが、3人・1パーティが2ピッチ目を登っていた(杉橋さんパーティだった)。取付は分かったのでテン場へ戻る。

 

9/24 晴 気温高め。陽が当たると暑かった

3:00起床-5:00テン場出発-:45分取付着-:20登攀開始-13:40中央バンド-17:55登攀終了-21:30取付帰着-23:00テン場帰着

P 大内 35m 前日なかった場所に染み出しが。出だしの登りをシミュレーションしていたがもろくも崩れ去った。

左の浅いルンゼはべちょべちょに濡れている。最初のピンは5m強上。

外れるのを覚悟してセットしたキャメロットC3でなんとか最初のピンにランニングを取る。セカンドは思い切った登りで通過。しかし気持ち悪いことこのうえなかった。

 

P 涼 30m トポの通りに行こうとすると草付きがひどいので右に逃げる。

1カ所、支点が欲しいところにない。ないはずはないと鵜の目鷹の目で探しハーケンを見つけたが、土に埋もれすぎていて使えない!

終了点が見えていたのでアブミを1台残置して登った。

 

P 大内 40m 直登するがすぐにボルトがなくなり一旦下りる。右へ出てからボルトラダーを直登。三日月ハングを越える。ハンギングビレイ。

 

P 涼 35m ボルトラダー。ヌンチャクを間引くが、どこで間引くか考えてる暇が惜しいのでとにかく登る。

あそこまで行きたい!という終了点が見えていたが、ロープの長さが怪しいのとヌンチャクが売り切れたので中途半端なところでピッチを切ってしまった。

ここも腰に悪いハンギングビレイ。しかもちょっと怪しいリングボルト2つで。バックアップを取れるようなリス、クラックもなく。スタティック荷重がかかるのもイヤな感じ。

頼むから落ちないでくれと願いながらセカンドをビレイ。

 

P 大内 12m 先ほどの、あそこまで行きたい!と思ったビレイ点まで。無理してでも4P目で行けばよかったと悔やむ()ピッチ。

 

P 大内 50m 藪が好きだったよなぁ、と無理矢理押しつけた中央バンドまでの下部岩壁最終ピッチ。最後の藪はほんとイヤらしかった。

また、合図の声が聞こえづらい。笛での合図を決めてなかったので、経過時間、ロープの引っ張り具合を見て登り始めた。

このピッチはルートファインディングがややこしい。ネタバレはここではしないでおく。

 

中央バンドのトラバースは25m。草付き、浮き石、足元が濡れていることもあるのでビレイした方がよい。ランニングを取る支点はある。

ダイレクトルートの終了点よりさらに進むと足元にリングボルトが2つある。

 

P 大内() 23m 出だしで何度かクルクル回ったが2ピン目にランニングを取ってからはぐいぐい行く。ハング真下の終了点よりもう1つ下の終了点で切る。

 

P 大内 30m 出だしにキャメロット#0.75をセットする。大ハング越えはスムーズに行ったが、セカンドの私が問題。

またクルクル回る。足、手、頭を使って回転を止めながら進むが時間がかかってしまった。

 

下降 8P終了点から中央バンドまで50X2本の1ピッチで下降。

ヘッドランプを下部岩壁終了点に置いてきてしまい、中央バンドを1.5往復トラバースしてしまうが、この往復より難儀したのは中央バンドからの下降1ピッチ目。

まっすぐ下りているのにロープが来ない。どこにもひっかかっていないのに。ヘッドランプ下降だったのもあるが、5P目終了点へ向かって左斜め方向へ下りた方がよかった。

斜めに引いていた杉橋さんパーティのロープはすんなり抜けていた。このあと順調に懸垂下降を繰り返す。

登り2P目終了点から50mロープで地面まで着くかと思いきや、あと5mほど足りず!登り返すはめに。

結局、大ハング終了点から合計6ピッチで地面に下り立った。片付けなどしてテン場に戻ると夜11時。内蔵助谷の冷水で顔と足を洗ったらすっきりして気持ちよかった。

 

9/25 晴 気温高め

6時起床-7:30テン場発-9:50黒部ダム-10:20扇沢着、帰阪

 

感想

フリー全盛の時代にアブミの人工登攀なんてと思ってらっしゃる方もいると思いますが、400mの司直の壁に拓かれた緑ルートは一度は登ってみる価値のあるルート。

特に大ハングは越えは、高度感あり抜群の充実感。真に「old but gold」というにふさわしいルートで開拓者に感謝です。

LIGHT and FAST1日で終わらせるにはとにかくスピード勝負。アブミの練習をしっかりやって、ルートファインディング力も養って挑戦してみてください。(大内)

 

一生分のアブミの掛け替えをした感じ。まっすぐに引かれたルートは私好み。

ホテル丸山で泊まる気がないのと下降ルートはまっすぐだと分かっていたのでヘッドランプを点けての下降をしたが、自信がない場合や下降に慣れない者がいる場合は避けた方がいいだろう。

少し厚着をしていったが、日当たりがいいルートなので陽が当たると暑かったが、アブミルートは時間がかかるので、途中で脱ぎ着をしてる時間がもったいない。

ある程度寒くても暑くても我慢できる服装がお薦め。とはいえ、動けなくなるようでは困るのでそこらへんは、その時、その場で判断を。(大内涼)

 

参考文献

「アルパインクライミング」山と渓谷社

「日本のクラシックルートーアルパインクライミングルート集」山と渓谷社 他

Macintosh HD:Users:RyokodeYamaya:Desktop:とりあえずの保存写真用:IMG_0028.jpgお手製チーターヌンチャク

Macintosh HD:Users:RyokodeYamaya:Desktop:とりあえずの保存写真用:IMG_0036.jpgアプローチの途中 ウド藪ひどい

Macintosh HD:Users:RyokodeYamaya:Desktop:とりあえずの保存写真用:IMG_0052.jpgP目登り始め

Macintosh HD:Users:RyokodeYamaya:Desktop:とりあえずの保存写真用:IMG_0076.jpg三日月ハング越え

 

 

Macintosh HD:Users:RyokodeYamaya:Desktop:とりあえずの保存写真用:P9240032.jpgP目フォロー中

Macintosh HD:Users:RyokodeYamaya:Desktop:とりあえずの保存写真用:P9240034.jpg中央バンド直下の藪 意外と悪い

Macintosh HD:Users:RyokodeYamaya:Desktop:とりあえずの保存写真用:IMG_0111.jpg
大ハング越え