蓬莱峡レスキュートレ (2017/7/23)
メンバー:森田(L)、大内、涼、深美、椿尾、きらら、崎間(記)
◆概要
- 7/23(日) 8:37 蓬莱峡バス停 → 9:00/14:20 蓬莱峡でレスキュートレ → 14:37 蓬莱峡バス停
◆詳細
1. 懸垂下降によるアクセスと確保
1.1 目的
要救助者(クライマー)が墜落して身動きできない状態を想定(図1)し、救助者(ビレイヤー)が上から回り込んで要救助者とともに懸垂下降する方法を習得する。
1.2 手順
- 救助者が懸垂下降して要救助者に接近。懸垂下降の折返し数を増やして制動力を上げる(図2)。
- 要救助者のハーネスと自分のハーネスを連結。要救助者の体重を受け止めるために、救助者は要救助者よりも上に位置し、要救助者をまたぐようにする。
- 要救助者のハーネスから出ているロープを切断し、要救助者の体重を救助者に移動する。ここで、実際にはロープにみたてた細引きを切断する(図3)。切断時はナイフの刃を自分と反対側に押し当てる。
- 要救助者とともに下降。できれば、要救助者が岩場に当たったりしないよう、救助者は要救助者の体を支えながら、ゆっくりと安全な場所まで下降する。
2. 斜張り(しゃばり)
2.1 目的
強固な2支点間に斜めに張ったロープに沿って要救助者を下降させる方法を習得する。沢等で有効。
2.2 手順
- 頑丈な支点(今回は大木を利用)に1/3システムでロープをピンピンに張る(図4)。
- 要救助者のハーネスに斜張りとは別のロープを付け、ハーネスに通したカラビナを斜張りしたロープに掛け、セカンドビレイまたは半マストで制動しながら斜張りロープに沿って下降させる(図5)。搬送先(図4の右側)からもロープを引いてコントロールする。
- 河原の石を確保支点とする場合は石屋さんの方法(イワハチ)が便利。テンションかかった後でも解きやすい。
3. 搬送
3.1 目的
各種搬送方法をおさらいする。
3.2 方法
(1) 背負い搬送
- 雨具の上下を連結する方法。雨具の腰の部分をスリングで連結し、雨具の手首部分と足首部分を結びループにして背負う。
- 雨具の上着だけの方法。雨具の手首部分と裾をループにして背負う。小柄な人しか背負えない。
- ザックの肩の所にスリング結び、そこを要救助者のハーネスのビレイループと連結し、ザックを背負う。今回試したうちで最も搬送しやすかった。
(2) シート搬送
- 上下3箇所左右の計6箇所に荷重点を設置。カラビナをシートの内側にして、外からインクノット。左右をシートベンドで連結。上下3箇所を120cmスリングで連結。頭の支点(1箇所)と肩の支点(2箇所)の計3箇所を流動分散で確保してコントロール。足側も同様。流動分散するときは3ヒロ半の大きな8の字を作り、結び目の末端を伸ばしておきループをつくりそこにカラビナをかける。
(3) 1/3引揚げシステム
- 要救助者が近くにいる場合は、要救助者のビレイループを1/3システムの支点としても良い。
付録 今回使ったロープワーク
- 半マスト
- インクノット
- 仮固定
- シートベンド
- ひばり → カウヒッチ(タイオフ)のこと
- 各種フリクションノット(プルージック、マッシャー、スネークノット)
◆感想
練習とはいえ、ロープ(細引きを環付ビナに連結した模擬ロープ)をナイフで切断する、される時は緊張しました。実践したくはありませんが、一度経験しているのとしていないのとでは大きな違いになりますので糧になったと思います。また、状況に応じたレスキューを行うためには、素早く確実なロープワークはもちろん、レスキュー方法の原理を理解し、手持ちの装備と知識でなんとか臨機応変に対応するアレンジ力も大切と感じました。日常的にレスキューに携わるわけではない我々週末クライマーは、すべてのレスキュー手順を完璧に記憶することは難しいからです。
それにしても、森田会長のスムーズで落ち着いたロープワークにほれぼれしてしまいました。どうもありがとうございました。
文章:崎間 (2017/7/27)