北山川水系 白川又川(大峰) 岩屋谷 |
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2018’8月18日〜8月19日 メンバー:松村、山口 |
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8/17 21:00に山口邸近くのコンビニで待ち合わせし出発 |
お盆も終盤なのか、大峰山間部の169号線は夜中だというのに、対向車がかなり多い |
白川又川林道へは、169号線から白川橋を渡るとすぐに入る。そこから駐車スペースまでは5分程度で |
前夜泊の場所は岩尾谷橋手前の林道脇スペースに停める。0:00着、1:30就寝 |
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8/18 7:00出発岩尾橋を渡り、岩屋谷添いの林道を歩くこと20分程度、人工堰を超えて入渓 |
まだ陽が差し込まぬ沢に最初の入水をする。気温が低いせいなのか、水温はあまり冷たさを感じない。 |
とにかく昨日の夜は寒くて、フリースを着込んで、シェラフカバーで寝たのだが |
2テンに二人でこの時期とは言え、少々きつかった。その気温を朝も引きずっていた。 |
天気は快晴だが、両側の岩壁が大きく発達した沢は、陽の当たる場所が少ない。 |
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入渓して約30分、斜滝5×8mで右側の所々張られた残置フィックスを頼りにトラバースする。 |
微妙なスタンスにフィックスなしでは厳しい。落ちても水の中かと思いながらトップで抜けようとした時 |
トラバースの出だしで山口君が「吐いていいですか?」と横で嘔吐している。 |
本人曰く、消化不良だそうだ。それを見届けリスタートした瞬間、フィックススリングが切れ2〜3m落下し |
流れの中に背中からドボン!水の中から這い上がると左手の中指はスリングの摩擦で皮か剥ぎ取られ |
右膝を強打して、捻ってたのかある角度、体勢にはズキッと痛む |
二人の状況を考えると早速、敗退の二文字、幸い大したことないのでキャンプだけして帰るかと言って |
幕営地を探しながら、様子見で遡上していく。 |
山口君の様態も徐々に良くなってきて、自分もある動作以外は普通に歩けたので、遡行を続行する。 |
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今回のこの沢の特徴は、急峻な岩壁に囲まれ、下流域から比較的大きな岩が多く |
ナメがほとんどと言っていいほどなく、ひたすらへつりにボルダー、滝登攀の連続 |
時にはショルダーで抜け後続を引っ張り上げ、ザックを下ろして抜けて荷揚げなど息つく暇もない。 |
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これだけ動いても汗をかかないどころか少し肌寒い。 |
だんだんと天気は曇りがちになり、少し疲れが見え始めた時、目の前に45mの一筋に落ちる滝が出現 |
これは登れないので左側を大きく巻くことに、出だしは水壁を登り泥る土の壁に出る。 |
滝の落ち口の高さまで登り、そこからトラバースしていくがこれが悪い。 |
細いルンゼを超えて回り込む、長いトラバースをロープを出し、つるべで進む |
木の根、カム、ハーケン、草を束ねてプロテクションを取る。 |
出口は滝の落ち口の急流のすぐ上をトラバースしていく。落ちたらあの水流の上でトローリングのルアー |
見たいになって溺れ死ぬんだろうなと立ち止まって見つめる。 |
ようやく時間はかかったが、最後は懸垂下降で滝上に降り立つ。 |
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この難関を抜けて少し陽の差し込む場所にて休憩したのが14:00頃だったので |
ここから先はそうそう難所もないだろうという事で、幕営適正地を探しながら遡上する |
15:00には幕営地を見つけ、本日の遡行を打ち切りたいところだ。 |
ところがこの後も出てくる、出てくる、滝は続くよどいこまでもじゃないけど |
そしてこの沢、幕営出来る場所がない、贅沢を言ってるわけでもなくほんとにない |
出来るとしてもビバーグするような悪い場所しかない。探してどんどん遡上を続けるが |
またしても目の前に10mほどの滝、高巻くことも出来たが、この沢は一つ一つが大きいので |
どこも結構な高巻きになるので時間もないし、幕営地まで最後だろういう思い込みを込めて直登 |
右側を直上し、大きく左にトラバースしながら抜ける。トラバースの際、強い水流を浴びる為 |
トラバース手前でプロテクションを取りたい。あまりの寒さで低体温症を避けるためカッパを着用して |
松村リードで滝の中へ突き進む!トラバース手前で滝の水を頭からかぶりながらハーケンを打つが |
浅くて決まらない。どんどん体の体温は奪われていく半分であきらめプロテクションを取るも |
あの水流に果たして耐えれるのか?勇気がでない。水の中を手探りしてクラックを探す。 |
見えないが水たまりの奥にクラックを見つけ、手探りで1番カムを入れてみる決まった!と思う |
意を決して、水流の中を匍匐前進でトラバース、水流がザックに当り体を持って行かれそうになるが |
なんとか抜けた!すぐに山口君を引き上げる。 |
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しばらく小滝をこなして行くと今度は2条の10mほどの滝、今度は山口リードで直登することに |
ラインを確認しする。ここも直上から左へトラバースして左上して抜ける。 |
出だしから2,3mが細かいスタンスでやらしい。支点取るところなくトラバース手前で探す。 |
かなり時間がかかったが、1カ所ハーケンでとる。効いていないようだ。 |
慎重に左上トラバースし、引上げの為の支点を探すがなく、右上して上まで苦労して抜けた。 |
こいつの沢でのメンタルは中々のもんだと感心する。 |
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抜けても抜けても幕営地は見つからず、時間は16:00前になっていた。 |
覚悟を決め、情報にある雄滝直下まで行くことに、あとどれくらい時間がかかるかわからないが |
明るく動けるうちは動いて、ダメなら岩の上ビバーグも覚悟 |
一週間前の堂倉谷でも思ったが、初見で沢は時間が読みにくい |
遡行図も全部の滝が載ってるわけでもなく。かといって登攀に至ってはボルトラダーがなく |
全てが自分たちの判断で進まなければならないので、巻き一つでも色々考える。 |
抜けれる保証はないから見た目の地形などから予測で直登か巻きか判断する。 |
それがいくつも出てくるとかなりの時間を要する。 |
まぁ経験の浅さと言えばそれまでだが、こんな時も焦らず、冷静でいたいと思う。 |
やがてまたロープを出さないといけない滝に、その上には少しだけ雌滝が見えた。 |
よし!ここを登って雌滝直下で適当に幕営?ビバーグ? |
松村リードで登りかけると、山口君が右奥に洞窟があって抜けれそうという。 |
向こうが明るいし抜けてみる。そこは雌滝より一段したの大壁の際で適当なスペース |
それを見た瞬間、幕営地に決定した。動ける狭い範囲でたまたま焚火に使う流木がありそのすべてを |
拾い集め、山口タープ張り、松村焚火に分かれ作業、17:30火が付き休息の時間へ |
夜の食担は山口君で生野菜のバーニャカウダと生米飯盒炊きご飯にタイカレー |
ニンニク丸ごとホイル焼きなどなどかなりのボリュームで担げるパワーが羨ましい |
食後衣服を乾かし、21:00山口君就寝、22:00松村就寝 |
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今回もタープとシェラフカバーのみの幕営、夜中0:00寒くて目が覚める。 |
3mほど先に小滝があり、その流水の冷たい風が吹き込んで寒い |
焚火の火はくすぶっており、あまりの寒さに火をおこし直し再度就寝、次は2:00に焚火の様子を見る |
暗闇の中の炎は、岩壁と小滝をオレンジに照らし何とも幻想的な世界だった。 |
今度は3:30ごろ山口君が焚火の火を大きくしている。5:30又も山口君が火をおこしな直しているので |
ここで起床するjことに、しばらく焚火で暖をとり朝食の準備にとりかかる |
朝食担当は松村、上多古同様ショートペンネなんちゃってカルボナーラにパンを焼いて食う |
コーヒーを飲みながら、出発の準備を整える。もうこのテン場に焚火の出来る薪はない。 |
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8/19 8:00出発、幕営地からすぐ直登し大壁の際をボルダーで登る。 |
朝一発目から体が動かずつらいが、それを乗り越すとすぐに雌滝70mが姿を現した。 |
ちょうど東向きに面してる為、雌滝は朝日が当り足元に虹が架かっていた。 |
水量は多くなく、幅約30mほどに渡りシャワーのような流水は、霧となり舞うものもあり |
滝の裏側にも入れるほどで、優しく流れ落ちている。 |
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昨日、薄暗いなか雄滝まで行かなくて幕営地が見つかった事 |
快晴の朝一番でこの景色に出会えた事、そしてここは誰もいない秘境だという事 |
こんなタイミングで見れるとは、「昨日、頑張ったご褒美やな!」と二人テンションが上がったまま |
現実の高巻きへ・・・雌滝すぐ左にガレたルンゼを登って行く。滝の落ち口の高さぐらいになると |
まっすぐ細くなったルンゼの続きと右側少し藪向こうにも細いルンゼがある。 |
どちらか悩んだが、今回出来るだけ小さく巻く事をしてきたので右側を選択 |
途中、スリングで確保しながらトラバースしたり、岩壁を登ったりで抜けると尾根に出る。 |
樹林帯越しに雄滝の足元が見えた。 |
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雄滝までは30mほど下らないと行けないので、ここでザックをデポし、懸垂下降でサクッと降りる事に |
ロープは残置し、帰りはこれを使って登り返すことに |
空荷で雄滝の真下まで行く、9:30雄滝に到着する。滝壺は浅くちょうど膝ぐらいの深さだ。 |
そのまま上を見上げると雄滝130m、雄大な姿、大きさはまさに圧巻! |
この雄滝も落ち口から横に徐々に広がって、岩肌を滑るように落ちている。 |
この滝の右側を直登出来るらしい。わらじの会が3〜4ピッチで登ってるブログをみた。 |
かなり難しそだ。全くラインは読めないし、しかもNPやし・・・でもいつかこんな所を登ってみたいと思う |
そんな話をしつつ、しばし雄滝の瀑風に当りながら休憩、下山ルートの確認をする。 |
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残置したロープで登り返し、1108ピークを目指し最後の詰めへ |
尾根に乗っかると下山ルートの稜線はあと100mほどかな、まっすぐ直上すると大きな岩壁にぶつかる |
左側に巻き、トラバース途中にあるルンゼを少し詰め泥壁、岩壁のを登ると1108のピークに出る。 |
11:00下山開始1108ピークから小峠山山頂を目指し尾根歩きをする。ところどころテープがあるがあり |
道はついているのだが、入山者が少ないのか荒れていて急峻で所々藪も濃いので |
地形図頼りに読図しながら、尾根を外さずに行けば迷うことはなさそうだが |
少し外れると山深いので注意が必要だと思う。 |
小峠西峰と書かれた、名刺より少し大きめの札がかかったピークを2つ超えて行くと |
3m×3mほどの開けた場所が小峠山山頂だ。消えかかった汚い札と三角点はある。 |
どうやらこの道は頂上眺望の為の登山道ではなく、雄滝を見に行くための登山道のようだ。 |
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この後、926と675を経由しながら、尾根をどんどん下って行く |
尾根は明瞭でわかりやすいが結構悪く急で、一応道らしく踏み跡はあるものの |
こんなとこ登るやつは、年間数えるほどしかいないと思う。 |
675からは大きく北に進路を変えるが、二俣の尾根はわかりやすく左の尾根を下る。 |
そのまま尾根を外さずに急な下りを逃げすに下山方向にコンパス通りに行けば林道に出てくる。 |
14:30林道に、下山開始から3時間半いつもながらきつい下山であったが、 |
予定通りに到着することができた。 |
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(文章/松村 写真/山口 松村) |
【感想】 |
入渓早々のアクシデントはあったものの大事に至らず、山口君の助けもあり最後まで抜けれた事に |
まずはパートナーに感謝。 |
沢は全体的にナメが少なく、歩くというよりは巻く、ボルダー、滝の直登と気の休まるところが少ない印象 |
2級上でここまで難しくなるのかなぁと思いながらの遡行でした。 |
巻きに関しては、ルートファインディングが重要で、どんな巻きをするかでかなり時間の差は出てくると |
思う。常に急峻な地形に囲まれているため巻きのルート選択が核心だったようなきがする。 |
今回は、詰め、巻き共に悪くはあったが、ルートファインディングがかなり良かったと思う。 |
読図に関しては、山口くんがリードしてくれて、道迷いなしでコースタイム通り下山することが出来た。 |
現場での状況判断が各所にあり、常に緊張感のあるアルパイン要素の強いルートであったと思う。 |
2名以上のパーティで行く場合は、時間工程は多めにとる事!巻きでかなり時間を費やすと思います。 |
今回で通算10本目の沢で、リーダー遡行4本目にしてこの遡行をアルパインとしてとらえるなら |
自分自身これが無積期のアルパインなんだと思うほど、興奮、しびれた1本となった事は間違いない。 |
前回の堂倉谷といい、今回も忘れられない経験になりました。 |
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