尾白川 刃渡り沢・岩間ルンゼ・ガンガノ沢 (2018/1/7-8)
メンバー:椿尾(L)、崎間(記)
◆概要
甲斐駒ヶ岳黒戸尾根の北面に流れる尾白川(おじらがわ)流域でいくつかの氷瀑を登りました。
- 1/6(土) 21:00 椿尾さん宅(集合)
- 1/7(日) 2:00/6:00 道の駅はくしゅう(仮眠) → 6:50 林道ゲート前 → 8:00/8:30 錦滝東屋前(テント設営) → 10:30 刃渡り沢F1 → 12:00/15:00 刃渡り沢F3(双翼の滝) → 17:20 錦滝東屋前(テント泊)
- 1/8(月) 5:00/6:30 起床・撤収 → 6:50/8:50 岩間ルンゼ(F2まで) → 9:40/11:30 ガンガノ沢(F2、上部偵察) → 12:00 錦滝東屋 → 13:20 林道ゲート前 → 19:50 椿尾さん宅(解散)
◆詳細
1日目(1/7) 刃渡り沢
快晴。道の駅はくしゅうで名水を汲んで出発。5年前来た時は日向山(ひなたやま)登山口近くまで車で入れたのだが、今回はほぼ林道始点にゲートがあるのでけっこう歩かなければならない。1時間以上を要して錦滝の東屋に到着。林道脇の平地にテントを設営して幕営装備をデポ。さらにそこから30分ほど林道を歩くと、刃渡り沢が対岸に見える。林道の終点から急斜面を下って凍った沢を渡渉。ちょっと迷いつつも目的の刃渡り沢F1に到着。ここまで駐車場所から3時間くらい。ゲレンデというには少々長いアプローチだ。
F1とF2を2ピッチで登り、双翼の滝と呼ばれるF3に到着。水が滴っているしシャンデリア状で登りにくそうだが、ここまで来て登らないわけには行かない。崎間リードで取付き、アックステンションしつつ突破。フリーでは登れないがフォールする前にきちんとフィフィで休めるようになったので、少しは学習したのだろうか。終了点らしきものは無いので、アイススクリューで支点を設置しトップロープで各自3本ほど繰り返し登る。
F4の様子が気になるので、リード&フォローで上部まで抜ける。残念ながら氷は未発達で、中央部は全く氷が無い。時刻は15時を回っている。そろそろ帰る時間。下山は巻道を下降する。F3から下へはナメ滝をひたすらクライムダウン。難しくはないが滑落が許されないので緊張する。林道へ登り返した時点で薄暗くなり、ヘッデンを点灯してテントに戻る。別途来られている大内さんらのテントが近くにあったので、挨拶して情報交換する。
2日目(1/8) 岩間ルンゼ、ガンガノ沢
予報によると昼前から雨。とりあえず雨が降る前だけでもということで、岩間(ガンマ)ルンゼを登りに行く。東屋から林道を10分くらいと近い。朝焼けを背に崎間リードで1P目をクライミング。中段の抜け口にある3mくらいのバーチカル部分で思ったよりも苦戦する。つらい。ザックも背負っているし、朝イチだし、アックステンションで休んでしまいたい。でも、一旦あきらめたらグダグダになるのは目に見えている。あと一手だけ頑張ってみようと、ごまかしごまかしレストして、なんとかフィフィに頼らず登り切れた。やはりフリーで抜けたときの満足感は格別だ。さらにナメ滝を10m程登って灌木でビレイ。続く2P目を椿尾さんリード。岩の間にある氷の回廊を登る。ひたすらナメ滝が続く。その奥に見えるF3はあまりに未発達だったので、2P目までで終了とする。適当な灌木で懸垂下降。
まだ時刻は9時過ぎだが、昼前から雨との予報なのでいったん東屋で作戦会議。あと登るとしたらガンガノ沢くらい。F1(錦滝)は明らかに薄くてリードできる気がしない。F2へ行くか、でも雨は嫌だなあと思っていると雪が降ってきた。雪なら登れる。というわけでF1を高巻いてガンガノ沢F2へ。椿尾さんリード。少し薄い部分はあるもののしっかり凍っており、長さもあって楽しめる。ぼくもフォローで上げてもらい、上部の偵察に向かう。所々1mくらいの小滝があり、フリーソロで次々と越えてゆく。こういう、歩きの様なクライミングの様な部分はちょっと好きだ。なかなか他では味わえない。ガンガノ沢上部左俣にはシークレット大滝があるはずだが、氷の発達はイマイチ。刃渡り沢といい、岩間ルンゼといい、上ほど氷が少ないのはなぜだろう。今年は雨が少なくて染み出しが少ないのだろうか。F2上まで歩いて戻り、懸垂2回でF1の下に降りる。今回はこれにて終了。
東屋で撤収していると湿った雪が本降りになってくる。下りの林道はあっという間に真っ白。滑りそうになりながら1時間強下り、ゲート前に停めていた車のドアを開けるとほっとする。いくら山が好きといっても人工物に頼らなければ数日も生きられない自分にちょっと矛盾を感じつつも、車で5分程の場所にある文明施設「尾白の湯」で暖まる。小淵沢ICから中央道に乗り、化石燃料を消費して帰途につく。
◆備忘録
- 主なクライミング装備はダブルロープ60m×2、アイススクリュー10本ほど。ダブルロープは伸びが大きいので、トップロープ時はツインロープとして使用した。また、今回登ったどの滝もマルチピッチだったので、登るにも降りるにも長いロープは重宝した。
- 林道入ってすぐにゲートが設置されており、ほとんど車で入れなかった。日向山登山口までの林道歩きはけっこう長く傾斜もあってしんどかった。登山口からはほぼ水平なので楽。ただし土砂崩れによって道が所々崩壊していた。
- 雪が少なかったせいか、刃渡り沢へのアプローチが悪く感じた。林道終点からの下降路は崩れていた。また、林道から見ると一目瞭然の刃渡り沢も、いざ近くに行くとどこから取付けばいいか分からず迷ってしまった。渡渉後、しばらく下流に行った所に刃渡り沢の出合があるので、そこから遡行するのが正解。F1まで所々II〜III級の小滝が続くため、メンバーによってはロープを出した方が良いポイントもある。下りは巻き道から歩きとクライムダウンできるが、状況によっては懸垂下降も交えた方が良さそう。
文章:崎間(2018/1/10)