2008年1月14日 堂満岳 第1ルンゼ中央稜
メンバー/中嶋L 空本、 辰己L 田中
9:00近江舞子駅集合。前日の雨の名残を気にしつつも、その朝乗車した湖西線はハイカーで満杯状態。粉雪が車窓の向こうで舞っている寒々とした琵琶湖を眺めながらわずかに気圧配置の上昇線を頼みの綱にして登山口のある近江舞子駅に到着。そして、駅の構内でゴアを羽織り出発となる。今回の山行目的は新人二人の初めての積雪期の岩稜登攀。六甲の岩場で2ヶ月間アイゼントレーニングをこなし、一層本チャンに近付くために(そのスペクトルの先にはああ憧れの剱が・・ほんまいけるんかいな?)ここはうってつけの入門コースなのだそうだ。命名どおりの赤錆のような様相の金糞峠の方向を目指し舗装された道路を北上し、やがてそれは林道歩きに変わった。
9:50イン谷口到着。出合い小屋で登山届けを提出。11:05イン谷口から金糞十下に向かう途中の登山道でアイゼンとガチャ類を装着し、一般登山道をはずれいよいよ積雪の岩場の取り付き点へと出発ー駅から歩きで延々2時間半のアプローチは1年ぶりの冬山の自分にはちょっと堪えた。足が思い!やはり日々のトレーニングの大切さを痛感。(何を隠そう週3の筋トレと差斜度15%の坂道4k/h ウォーキング週1では足りないってこと?!)後でわかったことだが、うちの会員のトレーニングはすごい。毎朝の10キロジョギング、ザックに10キロの負荷をかけての通勤、自転車でのアプローチってのもある!
11:30 取付き開始 二組のパーティーに別れ、先行が辰己リーダーの田中、後発は中嶋リーダー、セカンド空本。岩場登攀経験3年の辰己はビレーヤーの田中が溜息つくほど取付きもそつなくこなしあっという間に見えなくなった。やがてコールがあり田中の番が!オーバー手袋をはめて岩を探ってもなかなか手掛かりが見つからないのに加え、積雪もありアイゼンを置く場所に手間を取ってしまい、とうとう腕っ節にはめっぽう自信のあると自負する田中がでた筋力勝負のよじ登り登攀に中嶋から「まず確かなスタンスを決めろ!」というアドバイスが・・その指示通りそこをこなすと後はさらりと通過。振り返ると後発組の空本は正確なのか慎重に登っているようだ。
11:50 2ピッチ目 辰己リードもよどみなくリズミカルでセカンドも手こずるほど難しい場所もなく軽快に進む。後ろでは中嶋の様々なアドバイスの檄が飛んでいるのが耳に入ってくる。若い空本はいい山屋に成長する日が目に見えるようだ!
12:55 3ピッチ目 大きな岩をはさんで少しルートの意見が分かれたが、先行の辰己のルートを取ることに。立ち木で小休止。やっとゆとりも出て風景に目が行く。「いいいなぁ!」遅めの昼食を頬張りながらやっぱりそう呟いてしまう。岩場からの鳥の目線から見る風景は縦走路から見るのとは全く異なり、生きている山の深い呼吸が包み込むように伝わってくる。こんな風景を目の当たりにするたびまるで自分が鳥になったような錯覚に陥りそうになるのは自分一人なのだろうか?
13:35 4ピッチ目 そんなに緊張した場面に出くわすこともなく記憶に残る難しい場所もなくスピーディーに通過。空本も速度が上がっている。あと少しだ。
14:00 5ピッチ目 最後のピッチだ。終了間際の岩がぼろぼろかけて少し落石を起こしそうで緊張した。後発が見えないままここでロープをしまいシャクナゲの潅木帯の尾根をやぶこぎのようにして辰己の後に続く。最後の踏ん張りだ。後発組がいったいどこなのか検討がつかないまま二人とにかく歩を進める。
14:55 やがてぽっかり1057mの堂満岳の山頂にたどり着く。しばらくすると後発組も無事到着し、厚い雲も僅かにとれ見遥かす琵琶湖の大きさにしばし圧倒されながら4人揃っての記念撮影をして早々に下山開始。下山は東稜の一般道。
17;10 比良駅前の馴染みの店で祝杯をあげ17:57の電車に飛び乗り帰路に就く。やったぁ!今度は中谷左俣αルンゼだそうだ!こうやって一歩ずつ剱は手招きをしてくれるんだろうか?
文章/田中