2008年1月25-26日 御在所岳 前尾根、3ルンゼ ジャンダルム
メンバー/中嶋 辰己、大内L 空本
1/25<曇り> 22時梅田モンベル前集合。会長が見送りに来てくださっていたので御在所の概略とメンバーでトライできそうなアイスエリアの確認を行う。「ああ、それはね..」と大抵の事はご存知なので改めてすごいなぁと思う。後に中嶋の奥様も寒い中見送りしていただいた。気をつけて行ってきまーす。
1月26日<曇り時々雪> 1時御在所スカイライン閉鎖口着。4時起床。伊賀SAで買った餡入り草もちを食べながら出発の準備をする。月明かりで外はかなり明るく、危うく狼男になりかけた人が1匹いた。5時出発、気温はしばれる程寒くもなく5分も歩いていると汗ばむくらい。舗装道路を歩いてトンネル入り口手前にて右折、日向小屋で小休止してから藤内小屋を経て兎の耳あたりでテントを設営する6時半。登攀具を用意して7時半に出発。前尾根取付きへは8時に到着。明るくなってから前尾根3ルンゼ狙いのパーティーが続々と上がってくる。
先行は中嶋辰己組、後行は大内空本組に決定。ここでも初見フルリードの甘いお言葉をいただいたが、本で見た限り結構なロングルートであろうことと、微妙な出だし上部のかぶりをみてしまったのでここは謙虚につるべで進むことを提案する。1ピッチ目中嶋リードにてP7ノーマルルートに取り付く8時半。結構立ってて足の置き場に苦戦するもA0でなんとか越していく。フォローで登りだすと準備運動を怠ったのが裏目に出たのか、かぶり気味クラックで滑り落ちそうになりながら必死にこらえて正座ポーズで越えて途方にくれる。両手指先がかじかんで第1,2関節とも固まってしまってヌンチャクの回収ができない!口の中に入れても温かい感じがせずどうしようもないので、一人でブツブツつぶやきながら気力ボルテージを上げてガチャ回収後ビレイ点まで登る。ここでオーバー手を落としてきたことに気づく(遅い!)。
2ピッチ目辰己リードでフェイスに乗り込み微妙なバランスのバームクーヘン形岩を越えて立ち木でビレイ。中嶋がバームクーヘンをまずはフリーで挑む様子に我が身を反省する。3ピッチ目コンテ。4ピッチ目P6リッジルート。アイゼン爪も手もひっかかるか危うい岩の登りが続く。5ピッチ目P5藤内沢側ルート。右手のフェイスからカムで登れるか試そうとした瞬間7m下の雪上にポスッと落とす。ちょうど終了点があったのでビナをかけてロワーダウンで下ろしてもらう。登り返しのクラックでカム練習をしながらルートに戻る。貴重な時間を費やしてしまった罪悪感を抱えながら、フェイスを諦め左のカンテから周り込むことに。気持ちに余裕も無くカムもなかなか信頼できず苦戦し右手袋を外した際に沢に向かって落ちていくのを目にする。さっき落とし物したばかりなのに...回収をあきらめ前に進む。1ピッチ目と違って身体はポカポカして風もほとんどないため、幸い素手でも何も感じないがこれが正月の八つだったら...と想像して反省する。替えをテントに置いてきてしまっていたので見かねた中嶋が右オーバー手を貸してくれた。
6ピッチ目も微妙なフェイスで終盤アイゼンの爪あとに乗込むところが少しやらしかった。「そこが難しいんだよムハハハ。」とリードしていた中嶋に言われたので負けん気でサクッと登った(はず!?)。7ピッチ目P4北谷側ルート。直上し右に大きくトラバースして凍った雪の被る凹角下部を登っていく。50mいっぱいとなり先行者もいたので岩陰で一旦切る。8ピッチ目凹角上部を越えて小休止。時間も一杯であることと片方オーバー手を心配して声をかけてもらうが指先も温か軟らかく問題ない様子であったので続行を希望する。9ピッチ目 P3 Aスラブ。なだらかな登り。10ピッチ目Bスラブ カンテ→クラックを進みワイドクラックに両脚と背中を押し付けながら進む。11ピッチ目 Cスラブ。右に覗くと切れている感じがしたので左に巻いて終了。岩を越えてから振り返ってみると上左右のどこからでも越せる感じであったことが判明した。16:30終了αルンゼを横目に裏道登山道と合流しテン場に帰る。
後発組は2p目のバームクーヘン岩手前で空本の泣きが入ったため終了し、取付きでユマーリング、懸垂、半固定、片手インクノットを練習していたとの事であった。オーバー手は無事保護されていた(ありがとうございます ._.)。夜は絶品白味噌キムチ鍋を食べながら〆のうどんに辿りつく前に眠ってしまう程心地よく疲れた1日だった。
1/26<晴れ時々風雪> 5時起床。昨夜の鍋の残りを食べているうちに外はすっかり明るくなってきた。今日はアイスの練習に3ルンゼに向かう。1ルンゼとの出合いを少しつめると6mほどの雪の被った氷がありここで手始め練習をすることに。緩傾斜と左の立った氷を登る。バイルの振り方、足の蹴り込み、手足左右の間隔など思いつく限り試しながら登っていく。左のゆるいルンゼを登り3ルンゼ側にまけるかと思いきや一の壁に当たり引き返し、藤内沢左手の立ち木の間をくぐり沢をつめると20人程集まっていた。開けたルンゼは樹氷が林立し、その間に垂れる氷の造形美に思わずテンションが上がる。ジャンダルム右側に1本と1段上がった左手に1本ザイルを張って思い思いに練習する。刃の刺さる確立は上がってきたが、アイスのリードはもう一歩次の課題としてとにかく登ることに専念する。面白い。帰阪時間が迫ってきたため後ろ髪引かれる思いで来た道を下る。遅い昼鍋とビールで軽くおなかを満たし、温泉につかって帰路につく。
文章/辰己