2/13(土)
○大同心南稜
7:00頃行者小屋のテン場を出て、赤岳鉱泉へ向かう。途中で中山尾根パーティと分かれ、赤岳鉱泉へは30分
ほどで到着。
少し迷いつつも、赤岳鉱泉から大同心へ向かうトレースを見つけ、一時間ほど林の中を歩く。
森林限界を越え少し岩場を歩くと、大同心下部に到着。
そこから小同心の方へ向い、左に回り込んだ所に、南稜の取り付きがあるが、自分は全然わからなかった。
非常に風が強く、まだ日が当たっていない事もあり寒い。
南稜は入門ルートという事で傾斜も緩く、確かにホールドやスタンスも豊富だが
見上げる壁には雪がびっしり付いていて、その下には薄い氷が張っている。
リングボルトやハーケンなど親切なものは一切見当たらない。というか元から殆ど無いらしい。
昨夜の予定では自分がリードだったので、
どのルートで登ろうか、どこで支点をとろうか…むしろ、登れんの?など初めての冬壁に緊張しながら登攀
準備をする。
と、そこで会長が壁の状態を判断し、急遽中嶋さんがリードする事に。少し残念でもあったが、正直ほっと
した。という事で中嶋さんが1P目をリード。
スリングを岩角にかけてランナーをとりながら慎重に登っていく。
15m程登った所で苦戦しているようだ。
そこで辰巳さんから定時の無線交信が入る。
写真を撮ったり時計を見たりする余裕が無かった為、時間があやふやだが恐らくこの時点で10時だと思われる。
徐々にザイルが延びて行き、25m程出たところで微かにビレイ解除のコールが聞こえた。
セカンドは清家が行く。中嶋さんが雪を落としているのでホールドはわかりやすいが、
氷がベッタリ付いているので手を滑らせないよう慎重に登る。
最後は7m程のトラバース。足元が切れ落ちており、ものすごく緊張した。
何とか小さなテラスに着いてセルフビレイをとったが、全く安心できず怖かった。
ラストの会長はすたすた登ってきた。
2P目も中嶋さんリード。
猛烈に風が強い。全く弱まることなく絶え間なく吹きつけてくる。寒さに震えながらコールを待つ。ロープ
の引きと、僅かに聞こえる声で判断し、登り始める。2P目は1P目の強烈なトラバースと比べれば楽だった。
終了点は平で広く、座り込んで会長を待つ。
ドームは登らず、登攀終了。3回懸垂下降をして、取り付き付近に到着。
会長は先に下山し、中島さんと二人で小同心ルンゼへ向かう。取り付きではまだ四名2パーティが順番待ち
をしていた。
なんと2時間も待っているという。南稜2P目ビレイ中に、小同心取り付きへ向かうのが見えたパーティだった。
上を見ると3パーティ程が取り付いている。
行動食を食べながらしばらく見学していたが、すでに14時を回っていたので諦めて下山することに。
面白そうなのでまた今度登りたい。大同心南稜アプローチ途中に見た、冬の雲稜ルートも目標となった。
帰り際、赤岳鉱泉アイスキャンディーに寄って上級者の登りを少し見学し、行者小屋のテントへ帰った。
ギアの整理をしていると程なくして中山尾根パーティが帰ってきた。お疲れ様でした。
会長が赤岳鉱泉で入手して下さったビールと、ジューシーな鰻丼を有難く頂戴し本日は終了。
2/14(日)
○最終日 南沢大滝アイス
三日間天気が荒れたが、最終日(だけ)は信じられないほど良い天気だった。これは一体どういうことか。
昨夜トイレの順番待ちの時に話した東京の方は、赤岳主稜に登ってから帰宅するのだという。我々大阪もんには
そんな時間は無い。
もっと、アルプスも谷川も近ければなあ。下山するのが惜しいがテントを撤収し、南沢大滝へ向かう。
中嶋さん、辰巳さんがそれぞれ違うラインから同時に登る。中嶋さんは左から一昨日自分が登ったルートを登り、
辰巳さんは右から、凹角に上手く足を開いて登っていった。
驚くほどランナウトしまくっていたのでビレイしていてひやひやしたが、辰巳さんレベルなら普通なのかもしれ
ない。
トップロープを張って頂き、羽賀さんが登る。三日間の疲れが溜まっているようで途中で降りてきた。
松田さんは中嶋さんをビレイ中に足をつってしまったらしい。
会長は一足先に下山した。ビールと肉うどんを手に入れているのかもしれない。
自分も登らせて頂く。時間が押しているのでなるべく急いで登ろうとしたが、すぐにへばってしまった。なんとか
終了点を回収し、下山。
途中、松田さんの御神酒(の残骸)デポを回収し、会長、辰巳さんと別れ、もみの湯で温まり19:30頃今津に到着。
松田さん、帰りの運転大変お疲れ様でした。ペーパードライバーはもう卒業しなくては。
文章/清家